LiDARから中核のECUまで、トヨタのハンズオフを支えるデンソー製品:自動運転技術(1/2 ページ)
デンソーは2021年4月9日、トヨタ自動車の高度運転支援技術の新機能「Advanced Drive」で採用された製品を発表した。Advanced Driveはレクサスブランドのフラグシップセダン「LS」と燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載される。ドライバーは周辺を常時監視する必要があり、分類上はレベル2の自動運転に該当する。
デンソーは2021年4月9日、トヨタ自動車の高度運転支援技術の新機能「Advanced Drive」で採用された製品を発表した。Advanced Driveはレクサスブランドのフラグシップセダン「LS」と燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載される。ドライバーは周辺を常時監視する必要があり、分類上はレベル2の自動運転に該当する。
採用されたセンサーは、前方の車両や道路形状を検出するLiDAR(ライダー、Light Detection and Ranging)、検知距離を伸ばした「ロケーター望遠カメラ」の2つ。さらにECUでは、自車位置を高精度に把握する「SIS(Spatial Information Service) ECU」、センサー情報を高速に処理する「ADS(Advanced Drive System) ECU」「ADX(Advanced Drive Extension) ECU」など重要な役割を担うECU(電子制御ユニット)も採用された。その他複数のデンソー製品が搭載されている。
トヨタのAdvanced Driveは、ソフトウェアアップデートによって性能向上や機能追加に対応したのが特徴の1つだ。そのため、ECU関連のハードウェアには性能や機能を拡張する伸びしろを持たせている。アップデートの内容はトヨタの判断次第だが、レベル3の自動運転にも対応できるハードウェアになっているという。
「これまではハードウェアとソフトウェアの一体開発だった。OTA(無線ネットワークによるアップデート、Over-The-Air)をやっていく上では、ハードウェアは1世代で終わりではなく長く使ってもらう設計を考える必要がある。従来は、原価を追求してその時の個別最適で開発してきたが、ある程度のアップデートを前提に長く使えることを考えていく。伸びしろを持たせるのがオーバースペックなものを搭載するように見えるかもしれないが、特定の車両セグメントに向けた企画ではなく、ラインアップ全体をカバーするコア技術としてみていく必要がある。全体最適によって、提供しやすい価格にもなると考えている」(デンソー モビリティシステム事業グループ長 経営役員の武内裕嗣氏)
検知距離200mを超えるカメラとLiDARで前方監視を多重化
Advanced Driveは、レクサス向けの運転支援システム「Lexus Safety System+ A」に幾つかの部品を追加したシステム構成となっている。新たに追加されたLiDARとロケーター望遠カメラをデンソーが手掛けている。LiDARは車載用としては1995年から搭載実績があり、今回のLiDARは6世代目に当たる。カメラとLiDARはどちらも200m以上の検知距離を実現。前方監視は、LiDARとカメラ、ミリ波レーダーによって三重にカバーされる。
LiDARはメカスキャン方式で、レーザー光の高出力化と受光センサーの高感度化によって検知距離を伸ばした。また、平面ミラーを用いたスキャン方式を採用して検知角を120度まで拡大している。降雪時の利用に備えたヒーターや、センサー表面の汚れを除去するウォッシャー駆動回路も内蔵している。LiDARのコストダウンは、設計と量産の両面で進めた。汎用部品の採用などによってコストを抑えたが、「求められる価格まではミートできていない。開発を続けていく」(デンソー AD&ADAS技術2部 部長の夏目一馬氏)としている。当初の計画からLiDARの搭載個数が減ったのは「必要な数を必要な時期に、という選択になった」(同氏)というトヨタの判断が背景にある。
ロケーター望遠カメラは近距離用と遠距離用の2種類のカメラを搭載しており、撮像可能距離と高画素化を両立した。遠距離用のカメラは検知角度を狭めることで角度あたりの画素数を向上させ、遠方の映像も鮮明に取得するとしている。
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