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3Dスキャナーと3D設計による効果的な検査アプローチ、そして製造業DXの実現へデジファブ技術を設計業務でどう生かす?(11)(2/2 ページ)

3Dプリンタや3Dスキャナー、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第11回は、3D CADで設計した3Dデータと現物の3Dスキャンデータを基に“形状比較”を行う「検査」について取り上げ、その重要性とアプローチ、検査ソフトウェアの選定基準などを解説する。

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(3)レポート生成機能

 検査ソフトウェアの中には、検査結果のレポートを自動生成してくれるものもあり、レポート作成の手間を省くことができます。手入力によるミスもなく、効率的に検査結果をまとめることができるため非常に便利です。検査レポートの出力形式は、使用する検査ソフトウェアによって異なりますが、HTML、CSV、PDF形式の他に、テキストやExcel、PowerPointで出力できるものなどがあります。このレポート機能の充実度やカスタマイズ性も選定ポイントの1つに挙げられます。

(4)無償版の有無

 有償の検査ソフトウェアの中には、カラーマップの結果などを無償で閲覧できる廉価版が用意されているものがあります。廉価版の提供機能は検査ソフトウェアによって異なりますが、閲覧だけでなく、詳細の確認や断面作成まで無償利用できるものも存在します。例えば、カラーマップの閲覧が可能な無償版があれば、社内でのデータ共有や3Dデータ活用の推進もしやすくなりますので、無償版の有無(機能の範囲)についても確認しておくとよいでしょう。

検査業務の完全図面レス化から始める製造業DX

 最近、製造業でも「デジタルトランスフォーメーションDX)」という言葉をよく耳にします。DXとは、単純なデジタル化ではなく、デジタルを活用して業務を変革していくことです。

 今回紹介した3Dスキャナーを活用した検査では、2次元図面が不要になります。設計だけでなく、加工の現場でも3D CAMの活用によって図面レス化が進みつつありますが、「検査のために2次元図面を作成している」という現場も少なくありません。検査においても、3Dスキャナーを活用することで図面レス化が可能になります。

 従来の業務の進め方や客先との決まりごとがあるため、今すぐに3Dスキャナーを用いた検査や品質保証を実現することは難しいかもしれませんが、DXの第一歩として固定概念を捨て去り、3Dスキャナーを活用した検査業務の変革に取り組んでみてはいかがでしょうか。実際、「図面を見ながらノギスなどで測定していた作業から、数十倍の速さで検査できるようになった」という3Dスキャナーの活用事例もあります。また、最近ではAI(人工知能)を活用した不良検出の技術も発展していますので、そうした効果はますます大きくなっていくと考えられます。

 3Dスキャナーを活用した検査は、特別なスキルがなくとも数日間の操作教育を受ければ問題なく取り組めるはずです。もちろん、3Dスキャナーのみで製造業のあらゆる検査をカバーできるわけではありませんが、その一部分に適用するだけでも業務効率化や働き方改革などの実現につなげられる可能性が十分にあります。

 最後にもう1つ、今回、検査ソフトウェアの選定ポイントについて取り上げましたが、いくら優秀なソフトウェアを導入しても、そもそも取得した3Dスキャンデータの精度が悪ければ、質の良い検査は実施できません。その点も忘れずに押さえておいてください。今回の内容が3Dスキャナー活用、そして製造業のDX推進のきっかけになれば幸いです。 (次回へ続く

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筆者プロフィール

小原照記(おばら てるき)

いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。


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