複雑な外観検査を自動化、光コム技術採用外観検査装置の受注開始:FAニュース
JUKIとXTIAは2021年4月1日、JUKIの検査機にXTIAの光コム測定技術を搭載し、自動車のエンジン部品や機械部品の外観検査を自動化する「ハイブリッド外観検査装置」の受注を開始した。
JUKIとXTIAは2021年4月1日、JUKIの検査機にXTIAの光コム測定技術を搭載し、自動車のエンジン部品や機械部品の外観検査を自動化する「ハイブリッド外観検査装置」の受注を開始した。両社は2020年2月に共同開発の開始を発表しており、今回はこれらの成果を製品化したものとなる。
「ハイブリッド外観検査装置」は、JUKIの2D画像認識技術を搭載した高速自動検査機とXTIAの光コム測定レーザーを組み合わせた装置である。光コム技術は周波数スペクトルが等間隔に並んだくしのような形状をしている特殊なレーザーを活用することで、精度の高い3次元計測が行えるようにしたものだ。TOF(Time of Flight)法などを含む従来の手法では精度面で活用が難しかった領域でも使用できるようにしたことが特徴である。
一方で製造現場では人手に頼らざるを得ない検査工程が多くこれらの自動化が課題となっていた。両社が取り組んでいるのはこれらの外観検査領域の自動化である。
新たに受注を開始した「ハイブリッド外観検査装置」は、高速画像撮影と高精度レーザーをオールインワンで組み込んだ検査装置である。アルミ鋳造品のキズなどの欠陥検査を対象としている。複雑な形状の部品検査をインラインで自動化できることが特徴で、キズ不良の「位置」「長さ」「面積」に加え、「深さ」も計測でき高精度な検査を行える。
検査可能なワークサイズは、幅600×奥行き600×高さ300mmで、検査速度は画像が0.7秒、レーザーが2.5秒で、検査分解能はXY軸が12μm、Z軸が1μmだという。
両社では、今後も協業を継続し、JUKIの光学カメラ検査装置とXTIAが保有する光コム技術とを組み合わせた新たな製品の創出や性能の向上に取り組んでいく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 品質検査を自動化して全数検査に、ベンチャーの「光コム技術」が量産、普及へ
自動化された全数検査の“普及”へ――。ハードウェアベンチャーのXTIA(クティア、旧社名:光コム)は、ニコンやJUKI、双日、INCJから総額17億円を調達し、「光コム技術」の事業拡大に乗り出す。出資の内訳は、ニコンが8億円、INCJが6億円、JUKIが2億円、双日が1億円となる。 - 外観検査をロボットとAIで自動化するソリューション、ロビットが製品化
ロビットは、ロボットとAIを組み合わせた外観検査ロボット「TESRAY Sシリーズ」を発表した。独自開発の多軸ロボットアームと撮像モジュール、AIがセットになったロボットで、樹脂や金属、繊維などの素材や射出成形、プレス加工、めっき加工、塗装など複数の加工品の外観検査を自動化する。 - 学習なしでキズを抽出、外観検査自動化に貢献するAI機能搭載画像処理システム
オムロンは2020年6月29日、製造現場における外観検査の自動化に貢献するため、「キズ抽出」と「良品判定」の2つに特化した学習済みAI機能を搭載した画像処理システム「FHシリーズ」を同年7月1日から発売すると発表した。 - 第4次産業革命で変わる検査と品質向上の取り組み
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説していきます。第21回となる今回は、IoTやAIを活用することで品質向上への取り組みがどのように変化するのかという点を紹介します。 - 品質不正問題にどう立ち向かうのか、抜本的解決のカギはIoTと検査自動化
2017年の製造業を取り巻く動きの中で、最もネガティブな影響を与えたのが「品質不正」の問題だろう。「日本のモノづくり」のブランド力を著しく傷つけたとされるが、2018年はこの問題にどう対応するのかという点は、全ての製造業の命題である。人手不足が加速する中、解決につながる「仕組み」や「ツール」に注目が集まる1年となる。 - IoT時代にどう立ち向かうか、自動検査の位置付けを変えたマインドセット
「検査装置は不具合を見つける装置ではなく、不具合を出さないためのものだ」――。基板実装ラインなどで使われる外観検査装置で好調を続けるサキコーポーレーションだが、成功の土台には「マインドセット」の取り方にあったという。サキコーポレーション社長の秋山咲恵氏の講演の内容をお届けする。