車体フレーム組み立てのコスト削減を実現するデジタルツインソリューション:製造ITニュース
オートフォームは2021年4月6日、車体フレームを組み立てるBiW工程や金型プレス成型におけるデジタルツイン導入を実現するソフトウェア/ソリューション群の「AutoForm REMパッケージ」を発売すると発表した。エンジニアリング工程の効率化を図り、製品リードタイムやコスト削減につなげる。
オートフォームは2021年4月6日、塗装前の車体であるBiW(ボディーインホワイト、ホワイトボディーとも言う)の組み立てや金型プレス成型などの工程におけるデジタルツイン導入を実現するソフトウェア/ソリューション群の「AutoForm REMパッケージ」を発売すると発表した。エンジニアリング工程の効率化を図り、製品リードタイムやコスト削減につなげる。販売価格は約2380万円。
デジタル化が遅れるBiW工程
オートフォームは金型プレス成型とBiW組み立てにおけるエンジニアリング改善を実現するソフトウェアやソリューションを提供する企業である。同社はBiW組み立て工程について、PLM(製品ライフサイクルマネジメント)やMES(製品実行システム)などと比べると自動車業界においてデジタル化が遅れている領域の1つだと指摘する。金型成型やBiW組み立ての工程全体に、デジタルツインや部署とサプライヤー間でのシームレスなデータ連携を実現する体制を導入することで、各工程を効率化し、製造/組み立てコストの削減につなげられる可能性がある。
こうしたデジタル化を実現するためのソフトウェア/ソリューション群としてオートフォームが提案するのがAutoForm REMパッケージである。製造中の材料や部品の不具合を早期検出、解消して、高品質製品の製造を最小限のリソースで実現する。金型作成やトライアウト時間、プレスのダウンタイム削減を通じたリードタイム短縮、ブランク最適化によるコスト削減を実現する。REMは「Robust Engineering Model」の略称で、製造/組み立て工程に関わる全パラメーターの把握と、変動モデルを通じた製造結果の予測を実現するといった意味合いがある。
パッケージには「AutoForm REMソフトウェア」「AutoForm REMトレーニング」「AutoForm REMコンサルティング」の3つが含まれている。
AutoForm REMソフトウェアは、AutoFormが展開するソフトウェア製品の内、工程全体におけるシミュレーション精度向上に貢献するもの、部品情報やデータなどを部署/サプライヤー間でのシームレスな伝達を実現するものを統合し、プラットフォーム化したものである。
これらの活用訓練を行うソリューションがAutoForm REMトレーニングに当たる。2〜3日間の訓練で、日常業務でソフトウェアを不便なく使用できるようにする。AutoForm REMコンサルティングでは、オートフォームの専門コンサルタントに投資利益率向上を達成するためのアドバイスを受けられる。
導入事例としては、フォルクスワーゲン(Volkswagen)によるものが挙げられる。同社はAutoFormのソリューションを活用して、生産中のCO2排出量削減を目的としたブランク最適化を通じて、結果的に約2億円のコスト削減を達成したという。
また、国内ではマツダに納品する部品メーカーが、プレス成型部品の解析やロバスト性向上のためのソフトウェア「AutoForm-Sigmaロバスト性解析」を導入している。これによって、材料不良によるコストや生産ダウンタイムの削減に成功している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない「デジタルツイン」
デジタルツインというキーワードを、IoT活用やデジタル変革(DX)の流れの中で耳にする機会が多くなった。デジタルツインとは何か? について「5分」で理解できるよう簡単に分かりやすく解説する。 - “超アナログ”のタンカー配船計画、出光はどうやってデジタルツイン化したのか
海運業界で進む「ICT活用」は操船や運航に関連した分野だけではない。メンテナンスや配船といった広い業務に広がりつつある。2020年6月30日に出光興産とグリッドから発表があった「石油製品を運ぶ内航船の海上輸送計画(配船計画)を最適化する実証実験」も、海運業界におけるICT導入の試みだ。 - 日産が自動車向けにデジタルツインを構築、見えないものを可視化
日産自動車は2019年1月3日、消費者向けエレクトロニクス展示会「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)において、将来のコネクテッドカー技術「Invisible-to-Visible(I2V)」を出展すると発表した。 - モビリティのサービス化の最前線、技術とビジネスの在り方が変わる
MONOist編集部が開催したセミナー「MONOist Future Mobility Forum 2018」では、つながるクルマの進化を支える最新技術について語られた。各社の講演レポートをお届けする。 - 現地現物の3Dデジタルツイン化は製造業の現場に何をもたらすのか
日本の製造業が不確実性の高まる時代を生き抜いていくためには、ITを活用した企業の大変革、すなわち「デジタルトランスフォーメーション(DX)」への取り組みが不可欠だ。本連載では「製造業DX推進のカギを握る3D設計」をテーマに、製造業が進むべき道を提示する。第7回は、製造業のデジタル化の遅れにもつながっている“現地現物”をいかに3Dデジタルツイン化し、設計以降の業務に生かしていくかを紹介する。