バーチャル空間で事故車の損害調査を実施、コロナ禍での研修をVRで実現可能に:VRニュース
Synamonは、三井住友海上火災保険が実施している「事故車損害調査 基礎研修」にVR(仮想現実)技術を提供し、「VR事故車損害調査研修」を共同開発した。バーチャル空間に事故車の損害調査が行える環境を構築することで、全国どこからでも研修への参加が可能になるという。
Synamonは2021年3月22日、三井住友海上火災保険が実施している「事故車損害調査 基礎研修」にVR(仮想現実)技術を提供し、「VR事故車損害調査研修」を共同開発したことを発表した。
バーチャル空間に事故車の損害調査が行える環境を構築することで、全国どこからでも研修への参加が可能になるという。
コロナ禍での研修をVR技術で実現、全国どこからでも参加可能に
三井住友海上火災保険では、自動車事故の保険金額の算出過程として、事故車の損害調査を実施している。損害調査は、三井住友海上における根幹業務の1つであり、その意義を全社員が正しく理解するため、毎年、全国にいる数百人もの新入社員を千葉県にある研修所に集め、事故車損害調査の基礎研修を実施してきた。
しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、人を集めた実地での研修の開催が困難となり、三井住友海上火災保険では、VR技術を活用して全国どこからでも参加できる研修の実現を検討するに至った。
今回開発したVR事故車損害調査研修は、バーチャル空間であらゆるビジネス活動を可能にするSynamonの「NEUTRANS(ニュートランス)」を用い、VR空間上で事故車の損害調査研修が行える環境を構築し、事故車損害調査 基礎研修のほとんどの学習項目をバーチャル空間で実現可能にする。
具体的には、以下に示した従来の事故車損害調査 基礎研修の流れのうち、1〜5の学習項目についてバーチャル空間上で実施する予定である。
- 部品名称や新品部品の補給形態を学習
- 部品構成・材質や組み付け構造を学習
- 事故類型によって異なる損部形態や特徴的な痕跡について学習
- 実車(事故車)を使用して、調査プロセスを学習
- 損傷状態の証拠保全方法を学習
- 見積作成手順を学習
今後の展開としては、2021年4月以降にVR事故車損害調査研修を開催し、同年7月以降には、自然災害の損害調査におけるVR研修の実施も計画する。
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