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“避けられない不可抗力”が増えていく時代にどう備えるべきなのか自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

これまでMONOistでは「いまさら聞けない」というタイトルで、製造業にかかわるさまざまな物事を解説してきました。つい最近、私自身にも「いまさら聞けないけど常識っぽいぞ……」という言葉との出会いがありました。その言葉は「フォース・マジュール(Force Majeure)」です。

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 週末ですね。そして月末と年度末が見えてきましたね。おつかれさまでした。

 これまでMONOistでは「いまさら聞けない」というタイトルで、製造業にかかわるさまざまな物事を解説してきました。つい最近、私自身にも「いまさら聞けないけど常識っぽいぞ……」という言葉との出会いがありました。その言葉は「フォース・マジュール(Force Majeure)」です。

 フォース・マジュールはフランス語で大いなる力、すなわち不可抗力を指す言葉です。不可抗力の影響を受けて債務不履行となるケースについて事前に合意し、その場合に債務不履行(=部品や材料を出荷できない)責任を免除するという条項なのだそうです。具体的には、地震や洪水、台風、戦争、暴動、ストライキなどが該当します。日立総合計画研究所の解説によると、フォース・マジュールは1804年に発効したフランス民法典(ナポレオン法典)の条文に含まれているのだとか。また、古典期ローマ法にも同じく不可抗力に触れており、該当する天災がリストにまとめられているそうです。

 フォース・マジュール宣言が出されているのは、樹脂関連が多いようです。例えば、ポリアミド66(PA66、ナイロン)の原料であるヘキサメチレンジアミン(HMDA)は、数年前から供給が逼迫(ひっぱく)しています。ヘキサメチレンジアミンの供給不足は、その原料であるアジポニトリルの生産能力不足や災害の影響に起因しており、アジポニトリルを生産する会社が少ないことも要因となっています。アジポニトリルの生産能力を増強してからナイロンの供給不足が解消するまでの期間は、2019年時点でも2023年ごろと予測されていました。ここに、2021年2月の米国での寒波が重なりました。

 「不可抗力」となる出来事はこれからも決してなくならないでしょうし、異常気象が増えていけば、より手厚い備えも必要です。また、コロナ禍のようにいつまで続くか分からない不可抗力が、今後発生しないとも限りません。不可抗力の範囲でなくとも、昨今の半導体の供給不足のように巡り巡って影響が出るケースもあるでしょう。対症療法では乗り切れない事態が増えていき、対症療法しか持っていない会社や地域にとって厳しい時代になっていくように思いました。

 何か起きたときの対処は評価されやすく、事前に備えたり対策したりするのは目立たず評価されにくい……という話を聞いたことがあります。BCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)に携わる人が正しく評価され、活躍してほしいですね。

 さて、MONOistとEE Times Japan、EDN Japanのアイティメディア製造業向け3媒体では、半導体や電子部品の供給状況に関するアンケート調査を実施しました。半導体不足に関しては自動車への影響を取り上げた報道が目立っていましたが、調査結果では自動車以上に産業用機器での不足を挙げた回答が最多でした。産業用機器と一言でいっても、さまざまな機器が産業用機器として一まとめに取り扱われていることを考えると、1つの製品種だけで見れば、自動車やPC、スマートフォンなどと比べると小規模かもしれません。しかし、設備更新にせよ、生産能力の増強にせよ、産業用機器が手に入らないことでその目的を達成できないわけですから、それは大きな痛手です。

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半導体不足の影響が出ている分野(クリックでホワイトペーパーのダウンロードセンターへ移動)

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