トヨタの「X prologue」にVWの「Power Day」、電動化でどんな発表が?:自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)
1週間おつかれさまでした。週末ですね。今週、トヨタ自動車とフォルクスワーゲン(VW)からオンラインイベントの予告がありましたね。どちらも来週に詳細が明らかになるようです。新型車は心が踊りますね。
1週間おつかれさまでした。週末ですね。今週、トヨタ自動車とフォルクスワーゲン(VW)からオンラインイベントの予告がありましたね。どちらも来週に詳細が明らかになるようです。新型車は心が踊りますね。
トヨタ自動車は「X prologue」と題した何かを(車名なのか、プロジェクト名なのかは不明です)、中央ヨーロッパ時間で3月17日10時に発表します。現時点で公式Webサイト(※1)で見られるのは、カウントダウン表示と、赤いボディーカラー、それにランプのみです。ヘッドランプとボンネットの一部であるようですが、ヘッドランプとしてはかなり変わったデザインかと思われます。端のジュエル調の部分でハイビームやロービームを担うのでしょうか。
(※1)関連リンク:https://www.x-prologue.com/
また、ティーザー画像に写っているのがボンネットなのだとして、ボンネットの開き方がどのようになるのか気になります。エンジンフードとボディーの境目が分かりにくいのです。リアランプであればリアドアとボディーで分断されていることがありますが、ヘッドランプでも同じことができるのでしょうか。
X prologueの予告に関するプレスリリースのタイトルは「X prologue–‘A Small’ Preview Of What’s Next」となっています。欧州において小型車の今後を示すということは、EV(電気自動車)である可能性が高そうです。この新型車がEV専用プラットフォーム「e-TNGA」の採用モデルだったら、などと想像が膨らみます。
e-TNGAでは、フロント及びリアの駆動用モーターやフード内のレイアウト、前輪に対するドライバーの位置、駆動用バッテリーの幅などを「固定部位」、ホイールベースや電池の搭載量、オーバーハングなどを「変動部位」と分けています。フロントとリアのオーバーハングやホイールベースの長短、電池容量の大中小、駆動用モーターの出力の大中小などの変動部位と、固定部位の組み合わせて複数のバリエーションに対応するという狙いがあります。2019年時点では、e-TNGAによって2020年代にグローバルで10車種を展開する計画を発表しています。10車種、どんなEVが出てくるのか、楽しみですね。
VWは新車発表ではない「パワーデー」
VWは中央ヨーロッパ時間の3月15日13時に「Power Day」と題したオンラインイベントを開催します(※2)。ただ、「自動車のプレゼンテーションではありません」という注意書きがあり、単なる新型車の発表ではなさそうです。10秒間の短い予告動画には、電池が満タンになるアニメーションが使われており、電動車に関連しているのは間違いなさそうです。VWはすでに欧州向けに家庭用充電器「ID.Charger」を発表済みですので、他に電動車関連で発表するとしたら、どんなことでしょうか。家庭用ソーラーパネル? 新しい電池工場? 電池のリサイクル? どんな発表なのか、楽しみですね。
(※2)関連リンク:https://www.volkswagen-newsroom.com/de/livestream-5455
乗りたいと思える電動車が出てくること、電動車を使ってみたいと思う環境が用意されることは、カーボンニュートラルに向けた電動車の普及において不可欠です。ただ、インフラの整備はまだまだ課題が多いようです。それを実感したのは、国土交通省と経済産業省が開いた「カーボンニュートラルに向けた自動車政策検討会」でのことです(関連記事:自動車のカーボンニュートラルに向けた課題は? インフラ企業と自治体が訴え)。
この検討会では、東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資で2019年10月に設立されたe-Mobility PowerがEVの充電インフラについて、自動車メーカーやインフラ事業者などが協力する日本水素ステーションネットワーク(JHyM)が水素ステーションについて、普及の現状や課題を語りました。
e-Mobility Powerによれば、10km四方のエリアに急速充電器が1つもないという地域は、北海道や東北、北関東、中国地方にまだまだ残っています。高速道路で70km以上にわたって充電器がない区間も全国に18カ所あるそうです。こうした状況でも、自宅で充電して遠くまで行かないのであればEVでも行動できるかもしれませんが、遠出しようと思うとかなり綿密な計画が必要ですよね。遠出しないと判断する人が増えて、人の往来が少なくなったり、公共交通機関に切り替えることでクルマであれば来ていた人が来なくなったりすれば、観光を中心に困る業種が出てきそうです。
e-Mobility Powerは「充電器が近くにある」という安心感がEVの走行範囲拡大に効果的であるという知見に基づき、稼働率ありきでの充電器設置ではいけないと考えています。ただ、充電ネットワーク事態が公共サービスとして自立するには、一定規模のEVが普及することも不可欠です。また、多くの充電器が今後数年で更新のピークを迎えますので、現在の充電待ち渋滞や今後の普及を踏まえて新しい充電器に入れ替える作業も必須です。「鶏が先か、卵が先か」に加えて「鶏をどんな風に育てるか」まで考えなければいけない状況のように見えます。
水素ステーションも、ビジネスとして自立するまでの道のりは長そうです。利益を出すには、水素ステーション1カ所当たり900台が利用する必要があるとのことですが、水素ステーション1カ所当たりのFCVの台数は東京都で73.2台、全国平均でも31.7台にとどまっているとJHyMでは分析しています。水素ステーション中心の物の見方に少し違和感がありましたが、EVが自宅で充電できるのとは違ってFCVは水素ステーションがなければ水素を補給できません。FCVと水素ステーションのどちらの普及が先であるべきかといえば、水素ステーションが先に普及していてほしいところです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.