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線虫を使ったがん検査サービスの普及に向けて協業:医療機器ニュース
横河電機とHIROTSUバイオサイエンスは、線虫を用いて尿から15種類のがんを一次スクリニーングするがん検査サービス「N-NOSE」の普及に向けて、協業に同意した。
横河電機は2021年2月16日、線虫を用いたHIROTSUバイオサイエンス(HBS)のがん検査サービス「N-NOSE(エヌノーズ)」の普及に向けて、同社と協業することを発表した。横河電機がHBSに対して出資する、資本業務提携契約を締結した。
線虫は体長1mm程度の生物で、優れた嗅覚を持ち、安価に飼育できるという特徴がある。N-NOSEは、線虫の性質を利用してがん患者の尿から微量の匂い物質を検出することで、胃がんや大腸がんなど15種類のがんを早い段階で検知するがん検査サービスだ。がんか否かを約86%の精度で判定でき、受検者は尿の検体を一度提出するだけで、容易かつ安価に網羅的ながん検査を受けられる。
HBSは、N-NOSEの自動化装置を開発し、2020年から同検査サービスを開始している。2021年春には、自宅でがん検査ができる個人向けがん検査サービス「N-NOSE at home」の提供を開始する予定だ。横河電機は、これまでに培ったライフサイエンス分野におけるノウハウと技術を元に、N-NOSEで使用する自動解析装置の製造と保守を担当する。
両社はお互いの技術と知見を融合して、今後、新型自動化装置の開発を進める。また、横河電機のグローバル体制を活用し、N-NOSEを国内だけでなく海外にも展開していく計画だ。
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