バラ積み部品のピックアップ自動化へ、オムロンが3Dビジョンセンサーを発売:FAニュース
オムロンは2021年3月1日、乱雑に積まれた(バラ積み)状態の部品を3次元で認識する3Dビジョンセンサー「FH-SMDシリーズ」を発売した。複雑な形状の部品を取り扱う自動車業界向けで提案を進め、協働ロボットとの組み合わせで自動化を推進する。
オムロンは2021年3月1日、乱雑に積まれた(バラ積み)状態の部品を3次元で認識する3Dビジョンセンサー「FH-SMDシリーズ」を発売した。複雑な形状の部品を取り扱う自動車業界向けで提案を進め、協働ロボットとの組み合わせで自動化を推進する。
カメラを小型、軽量化したことでロボットに直接搭載
オムロンが新たに発売した3Dビジョンセンサー「FH-SMDシリーズ」は、ロボットへの搭載を想定したカメラであり、2019年のIIFESで参考出展したものを製品化したものだ。
従来の3Dビジョンセンサーはサイズが大きく、ロボットに直接搭載できず、架台など専用の取り付け設備が必要な場合が多かった。しかし、カメラを小型化、軽量化したことでロボットのハンド部分への搭載を可能とした点が特徴だ。外形寸法は、高さ53mm×幅110mm×奥行き77mmで、質量は約570gとしている。加えて、検出スピードは同社調査では最速で0.4秒で、ロボットのピッキング動作を人と変わらず円滑に行えるようにした。
カメラの小型化と高速認識を実現できた理由として、オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 センサ事業部 画像PMG 経営基幹職の中下直哉氏は、独自のパターン照明により少ない撮影回数で撮影できるようにした点と、少ない撮影データで一致する3次元データを見つけられるサーチ技術の2つを挙げる。
「従来の3次元画像認識技術では、位相シフト方式などが採用され、3次元認識を行うのに何枚もの画像データが必要だった。オムロンでは新たに構造化照明方式を採用し、照明に専用パターンを加え、このパターンの変化から1枚の撮像でも3次元点群を認識できるようにしている。この撮影枚数の低減が、カメラの小型化に貢献した。また、オムロンが以前から展開する2次元センサーのノウハウを生かし、少ないデータ容量でも得られた特徴データと似たデータをマッチングする技術を活用した。これにより、小型で高速、高精度なマッチングが可能となった」と中下氏は語っている。
ウィザードメニューで簡単設定
また、ピッキングアプリケーションを立ち上げるためのウィザードメニューにより、カメラ設定からキャリブレーション設定まで、ウィザードにそって設定するだけでアプリケーションを設定できる。製造現場では、3次元カメラの設定が現場の担当者だけでは行えないために使いこなせない場合も多いが、メニューを選択するだけで設定可能であるため、さまざまな現場で使用できる。現状ではオムロン製のロボットとの組み合わせに対応しているのみだが「要望次第では他社のロボットとの接続も順次可能としていく」(中下氏)。
計測範囲は、400×300×200mmだが、30×30mm以下の計測物については「精度面で問題があり、基本的にはそれくらいのサイズ以上のものを計測するのに使う。微細な電子部品などではなく自動車部品などの用途を想定している。要望次第では小さなサイズにも対応するモデルの検討は行う」と中下氏は語っている。価格については「オープン価格だが、競合他社の同等の製品よりは低価格で提供したい」(中下氏)としている。
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