“つながるSOLIDWORKS”がもたらす変革、新たな3Dツールや学生/Makers支援も:3DEXPERIENCE WORLD 2021(2/2 ページ)
SOLIDWORKSの年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD 2021」がオンラインで開催された。初日のゼネラルセッションでは「From Products to Platform」と題し、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏が登壇。その戦略と方向性について語った。
宇宙ステーションの設計でクラウド連携の価値を実証
また、バッシ氏は、3DEXPERIENCE SOLIDWORKSのオファー(製品提供構成)として、デスクトップ版と同様に「Standard」「Professional」「Premium」の3つのグレードを用意し、2020年7月に提供開始したことを紹介した。
SOLIDWORKSユーザーが3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオを活用することで、設計やシミュレーションのみならず、製造、管理、マーケティングといったモノづくりの全てのプロセスにまで機能を拡張し、それらがプラットフォーム上でシームレスに連携する(つながる)ことでビジネスインテリジェンスを促進して、イノベーション創出が可能になるとする。
実際、社内で実施したグランドチャレンジの取り組みでは、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオを用いて、巨大な宇宙ステーションの設計をクラウドコラボレーションで実現。約600人の従業員が3D Creatorや3D Sculptorを用いて自宅からコラボレーションしながら1万1000点以上のパーツを設計した。そして、この宇宙ステーションのスケールモデルの製作の際は、プラットフォームを介して外注先とのやりとりを実現した他、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオに含まれる製造業向けERP「DELMIAworks」を活用し、膨大な部品の製造計画やプロセス管理に役立てられたという。
新ポートフォリオの価値を学生、メイカーズにも広げる
以上のように、バッシ氏は3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオ戦略を強化し、プラットフォームの活用を推進していく方針を示したが、同時に学生やメイカーにもその裾野を広げ、支援する方針を掲げる。初日のゼネラルセッションでは次の2つの発表が行われた。
まず発表したのが「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS for Students」だ。「全ての業界におけるイノベーションの源泉は、将来の担い手である人たちに適切な知識と権利を与え、その能力を伸ばしてあげることだ。これは企業にとって最優先事項といえる取り組みだ」(バッシ氏)とし、2021年5月から学生向けに3DEXPERIENCE SOLIDWORKSを年間60米ドルで提供する。学生らはクラウドベースの3D設計ツールが利用可能となり、仲間や専門家とオンラインコミュニティーでつながることができ、業界で認められたSOLIDWORKS認証を取得することで雇用機会も獲得できるという。
もう1つが、メイカー向けに2021年後半の提供を予定する「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS for Makers」である。こちらはProfessional版のSOLIDWORKSや3D Creator、3D Sculptorなどが利用できるオファーで月額9.99米ドル、もしくは年額99米ドルで利用可能だ。
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