いまさら聞けない 3Dスキャナーの選定基準:デジファブ技術を設計業務でどう生かす?(9)(2/3 ページ)
3Dプリンタや3Dスキャナー、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第9回は、その特徴や方式の違いなどに触れながら、3Dスキャナーの選定基準について詳しく解説する。
「2in1」や「3in1」なども登場
以上のように、3Dスキャナーにはさまざまな方式やタイプがあります。それぞれにメリット/デメリットがありますので、使用目的や撮影環境に合わせて使い分ける必要があります。
また最近では、“2in1”や“3in1”など、光投影法とレーザー切断方式の両方が使えるタイプや、据え置きタイプとハンディータイプの両方で使えるもの、3Dプリンタに3Dスキャナー機能が搭載されているものなどが販売されています。必要に応じて、こうした候補も選択肢として考えておくとよいでしょう。
図3 多機能3Dスキャナーの例:SHINING 3D社のEinScan Pro 2X&2X Plus ※出典:ケイズデザインラボ(https://www.ksdl.co.jp/img/sales/pdf/KSDLweb_EinScan-Pro2XPF_S2.pdf) [クリックで拡大]
3Dスキャナーの選定基準
ここからは、今回の本題である3Dスキャナーの選定基準について説明します。
(1)色/カラー
3Dスキャナーの中には、対象物の色情報まで取得できるものがあります。形状検査のみで使用するのであれば色情報は不要ですが、重要文化財や衣類、人間の顔といったものの場合、色情報まで取得できる3Dスキャナーを選ぶ必要があります。
(2)マーカー
図4 対象物にマーカーを張り付けて3Dスキャンしている様子。SHINING 3D社のEinScan Pro 2X&2X Plus ※出典:ケイズデザインラボ(https://www.ksdl.co.jp/img/sales/pdf/KSDLweb_EinScan-Pro2XPF_S2.pdf) [クリックで拡大]
対象物の形や位置を認識させるための基準となるもので、磁石やシール状になっているマーカーを対象物に不規則に張り付け、位置合わせの基準を作ります。マーカーを認識することで位置合わせを行うため、比較的正確な形状取得が可能です。ただし、必ずマーカー式の方が精度的に優れているということではありません。その点はご注意ください。3Dスキャナーの中にはマーカーを使用するもの、使用せずに形状や色などの特徴を認識して位置合わせをするもの、さらにはその両方が使えるものがあります。
(3)パウダー
一般的に3Dスキャナーによる計測では、透明や黒色、光沢のある素材などの場合、光やレーザーを透過したり、反射/吸収してしまったりと、うまくデータを取得できないことがあります。その際は、白色のツヤ消しパウダーを対象物にスプレーして対応します。また、3Dスキャナーの中には、赤外線や複数本の青色レーザーなどを照射することで、この問題を解決できるものもあります。
(4)キャリブレーション/メンテナンス
キャリブレーションの方法についても確認しておきましょう。最近の3Dスキャナーは簡単にキャリブレーションできるものが多いので、あまり心配する必要はないと思いますが、購入する際は念のため確認すべきです。また、メンテナンス性やメーカーの保証/サポート内容も選定のポイントになります。
(5)ポータブル性(持ち運び、取り回し)
先ほど、3Dスキャナーには据え置きタイプとハンディータイプがあると説明しました。その他のポイントとして、PCとの接続性、ケーブルのあり/なしなど、持ち運びや取り回しの観点でも機種を考慮する必要があります。
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