CAD/PLM業界もSaaS化へシフト、PTCが「Onshape」日本語版の提供開始を発表:CADニュース(2/2 ページ)
PTCジャパンは、SaaS型製品開発プラットフォーム「Onshape」の“日本語版”の提供開始に併せ、オンライン記者説明会を開催。Onshapeの詳しい特長とともに、同社が推進するSaaS戦略のビジョンや今後の展開について語った。
自動車のEV化のように、CAD/PLM業界もSaaS化へシフト
そもそもPTCがSaaS戦略を強化する背景には、製造業のクラウド/SaaS利用の遅れがある。そこに着目し、設計開発の領域にSaaS活用のメリットをもたらすとともに、サブスクリプション方式の活用をさらに加速させたいという狙いがある。実際、Onshapeの買収を皮切りに、SaaSプラットフォーム「Atlas」を発表したり、2020年12月にArena Solutionsを買収したり(SaaS型PLM「Arena」を手にした)など、インダストリー領域におけるSaaS戦略の展開を積極的に進めている。
PTCジャパン 代表取締役/PTC アジア太平洋地域 統括責任者の桑原宏昭氏は、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行する以前から、PTCはSaaS戦略に向けた準備を進めてきたが、(コロナ禍において)さまざまな業務でリモートによるコラボレーションの必要性が迫られる今こそ、SaaSを活用すべきタイミングではないか」と訴える。
また、説明会にビデオ出演したPTC 社長 兼 最高経営責任者(CEO)のジェームズ・E・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏は「自動車業界で電動化(EV)が加速しているように、CAD/PLM業界もSaaS化へと向かい、近い将来SaaSがその主流になるだろう」と述べている。
PTCが推進するSaaS戦略の基盤となるのは、Onshapeのテクノロジーをベースに開発されたSaaSプラットフォームのAtlasだ。同プラットフォームは「AWS(Amazon Web Services)」や「Microsoft Azure」といったクラウドサービスの上に構築され、SaaS対応アプリケーションに必要なさまざまな共通ファンクションを備える。これにより、PTCの主要製品をはじめとする各種アプリケーションや機能がAtlasプラットフォーム上で動作/連携し、それらがSaaSモデルとして提供される。
今回発表のOnshapeはもちろんのこと、既にAR(拡張現実)ソリューション「Vuforia」がSaaS対応しており、Arena(※注1)についてもAtlasプラットフォームで動作するSaaSモデルで展開される。
※注1:Arenaの国内展開は2021年後半を予定するという。
桑原氏は「Atlasプラットフォームの上に、次々とSaaS対応アプリケーションを提供していく」とし、3D CAD「Creo」のジェネレーティブデザイン機能や、IoT(モノのインターネット)プラットフォーム「ThingWorx」のビジュアライゼーションサービス、PLMソフトウェア「Windchill」のビジネスプロセスマネジメントなどが、SaaS対応する計画だという。
このように、Atlasプラットフォーム上で動作するSaaS対応アプリケーションが充実していくことで、例えば、Onshapeで設計した3Dモデルを基に、VuforiaでARによる作業指示/組み立て指示をシームレスに作成できるようになる。また、将来的には、既にCreoで先行して実現しているジェネレーティブデザイン機能との連携も可能になり、Onshapeからジョブを投げて、クラウドで計算した複数の設計案から最適な形状を選んで、より良い設計に役立てるといった活用が見込める。
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