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自動運転やADASのシミュレーションに「日本のための3D CG」、デジタルツイン活用を支援車載ソフトウェア

アドバンスド・データ・コントロールズ(ADaC)は2021年1月19日、同月15日付でグループのバーテックス(VERTechs)を子会社化したと発表した。バーテックスは、CG映像製作会社のWiseとADaCが2016年に設立した共同出資会社だ。子会社化により、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システム向けにバーテックスが提供してきたAI(人工知能)の開発・検証環境の事業を強化する。

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 アドバンスド・データ・コントロールズ(ADaC)は2021年1月19日、同月15日付でグループのバーテックス(VERTechs)を子会社化したと発表した。バーテックスは、CG映像製作会社のWiseとADaCが2016年に設立した共同出資会社だ。子会社化により、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転システム向けにバーテックスが提供してきたAI(人工知能)の開発・検証環境の事業を強化する。売り上げとしては前年比25%増を見込む。

 自動運転システムやより高度なADASの開発には、実車や実機での検証だけでなくシミュレーションが不可欠だといわれている。実車や実機のみで検証する場合、数億kmもの走行や必要な場面の再現にリソースを必要とするため開発の負担が大きいが、ゲームエンジンを活用した仮想環境での走行テストでは道路の構造物や交差点、車両、歩行者、天候、日照条件によって発生する直射日光や影などをリアルかつ自由に設定できるため、特定のシチュエーションでの走行場面を繰り返し検証したり、車両の周辺環境を認知するAIの学習データとして利用したりすることが可能だ。

 ここでのシミュレーションとは、車両が走る場面やセンサーによる周辺の認識まで再現する仮想環境、仮想環境を受けて認知・判断・操作を行う統合制御ソフトウェア、ソフトウェアを基に車両側の挙動を再現する従来の各種シミュレーターが連携したものを指す。これらは単に自動車メーカーやサプライヤーが開発中に独自に使うだけではない。例えばドイツでは、自動運転車の安全性評価やテスト環境の構築を協調領域と位置付け、使用するツールやテスト方法、評価の標準となるフレームワークを普及させようとしている。日本でも内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)が中心となって同様の目的で活動している。

 自動運転システムやADAS向けの3D CGシミュレーションは開発だけでなく認証にも不可欠になると見込み、さまざまな企業が参入している。車両制御の開発環境に携わってきた企業、NVIDIAのようにCG技術やAI学習に強みを持つ企業、ゲームエンジンの取り扱いに慣れたCG映像制作会社など、アプローチはさまざまだ。この中でADaCとバーテックスは、業界標準となるフレームワークの動向をフォローし、各種フレームワークとの連携に対応した仮想環境を、日本の道路交通事情に即した形でゲームエンジン「Unreal Engine」で構築しやすくすることを狙っている。

 道路交通を再現した仮想環境の構築については海外企業も手掛けているが、右側通行を左側通行に合わせるなど日本の道路交通に合わせて作り込まなければ、最適な仮想環境を構築するのが難しい。ADaCとバーテックスは3D CGデータアセット「AUTO City」で日本の交通ルールを踏まえた仮想環境を提供することにより、差別化を図る。


自動運転システムの開発への3D CGの貢献(クリックして拡大) 出典:バーテックス

 ADaC 代表取締役会長の河原隆氏とバーテックス 代表取締役の尾小山良哉氏は、「車両全体のシミュレーションが1つのターゲットではあるが、自動車メーカーや大手サプライヤーだけが対象ではない。周辺環境の認識に使用するセンサーを手掛ける企業であればシミュレーション活用は不可欠であるはずだ。今後、ADAS搭載車や自動運転車への入力は、周辺環境だけでなくダイナミックマップなど車外からの情報にも広がる。そうなるとデジタルな側面なしに車両が走る環境を定義するのは難しい。3D CGはデジタルツインを活用してモノづくりを進めるための技術だ。デジタルツインの価値はやってみて分かることも多い。クルマは一番複雑なプロダクトではあるが、ドローンやロボットにもデジタルツインは有効だと考えている」とコメントしている。

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