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「SystemReady」でx86を全方位追撃するArm、高性能組み込み機器向けもカバーArm最新動向報告(12)(3/3 ページ)

Armが開催した年次イベント「Arm DevSummit 2020」の発表内容をピックアップする形で同社の最新動向について報告する本連載。今回は、「Cortex-A」ベースマシンのPC化を目指す「Project Cassini」と、それを具体化した「SystemReady」について紹介する。

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マイクロソフトが協力、ラズパイ4などが「SystemReady」の認証を取得

 これらのSystemReadyの要件をもう少し細かく示したのが図10である。それぞれの環境に応じて対応できるOSやハイパーバイザー、搭載されるファームウェアなどが細かく異なっているのが分かるかと思う。

図10
図10 「SystemReady LS」が一番実装が容易というのはちょっと面白い(クリックで拡大)

 2020年10月に開催されたArm DevSummit 2020のタイミングでは、Microsoftが認証プログラムに協力しており(図11)、既に「Raspberry Pi 4」を含む幾つかのデバイスで取り組んでいることが明らかにされた。

図11
図11 「SystemReady RS/SR」に関してはWindowsも対応するOSに含まれているので、この協業そのものは別に不思議でも何でもない(クリックで拡大)

 2020年12月の時点では、これに加えてAmpereのサーバ専用プロセッサ「Altra」(図12)、NXPの「Layerscape LX2160A」搭載ボード(図13)、同じくLayerscape LX2160Aを搭載するSolidrunの「HoneyComb LX2K」(図14)、NXPの「Layerscape LX1046A」搭載ボード(図15)がそれぞれSystemReadyの認証を取得した、もしくはしていることが明らかにされている。

図12図13 (左:図12)Ampereの「Altra」はサーバ専用プロセッサなので、当然こちらは「SystemReady SR」である。(右:図13)エッジデバイス向けの「Layerscape LX2160A」は「SystemReady ES」(クリックで拡大)
図14図15 (左:図14)「HoneyComb LX2K」は現在認証取得作業中とのこと。搭載しているのはNXPの「Layerscape NX2160A」だ。(右:図15)「Layerscape LX1046A」搭載デバイス。これは「SystemReady IR」かと思ったらやはり「SystemReady ES」を取得途中とのことだった(クリックで拡大)

 AmpereのAltraを除くと、(Raspberry Pi 4を含めて)基本的に開発ボードなので、最終製品にそのまま使うというわけにはいかないのだが、BIOSなどは全て提供されるから、それをそのまま導入することで最終製品における複数OSの稼働が保証されるというのは、確かにエンドユーザーにとっても悪くない話である。

 これまで、Cortex-Aレベルの性能が要求されるクラスのエッジデバイスでは、しばしばx86+Windowsやx86+Linuxといった構成がみられることが多かったが、画面があるデバイス(キオスク端末など)に関しては、最近Arm+Androidを採用する事例が増えてきている。今回のSystemReadyの投入により、今後は同ESや同IRを取得したArmベースのシステムがLinuxなどとの組み合わせで大幅に採用を増やしていく可能性が出てきたことになる。

 前回紹介したハイエンドサーバ分野だけでなく、ハイパフォーマンスの組み込み機器向けでも、Armがx86を追撃するための条件がそろってきたといえるだろう。

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