デンソーが変革プラン「Reborn21」を推進、役員体制も4層から2層にフラット化:製造マネジメントニュース
デンソーが2021年1月1日付で実施する組織と役員体制の変更とともに、デンソー変革プラン「Reborn(リボーン)21」を発表。Reborn21は「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進し、2021年度末までに新しいデンソーとして再出発することを目指している。
デンソーは2020年12月7日、2021年1月1日付で実施する組織と役員体制の変更とともに、デンソー変革プラン「Reborn(リボーン)21」について発表した。Reborn21は、「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行と、環境変化に左右されない「引き締まった強靭な企業体質への転換」を同時に推進し、2021年度末までに新しいデンソーとして再出発することを目指している。
同社は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響に加えて、燃料ポンプの大規模リコールなどの品質問題も発生し厳しい経営状況にある。Reborn21は、社会や顧客への新しい価値の提供と経営・信頼の基盤である品質の立て直しを目的としており、組織と役員体制の変更はReborn21を推進するために実施する。
Reborn21の2つの目的のうち、「環境」「安心」分野での成長戦略の立案・実行では、デンソーグループの2030年長期方針スローガン「地球に、社会に、すべての人に、笑顔広がる未来を届けたい」の下、「環境」「安心」分野で取り組む大義を再定義するとともに、事業ドメインを「モビリティ」「モノづくり」「ソサエティ」に広げる。なお、「環境」分野の大義は「カーボンニュートラルな製造業を目指す」、「安心」分野の大義は「交通事故なく、自由な移動を実現する」「人を支援し、人の可能性を広げる社会を構築する」「心安らぐ快適な空間を創出する」となっている。
引き締まった強靭な企業体質への転換では、「仕事の進め方」改革として、世界中の顧客のニーズを捉え、製品サービスを一括企画する「コア&カスタマイズ戦略」を推進し、多様なニーズへの対応と、徹底した標準化による業務効率化の両立の実現を目指す。また、「仕事のデジタル化」を強力に推進し、スリムでスピーディーな仕事の進め方への変革を図る。さらに、モノからコトへ、ハードからソフトへ価値がシフトしていく時代の中で、常に新たな価値を生み出すことができる「変化に強い人・組織」に生まれ変わっていくために、重点・強化領域へ挑戦する機会の創出と人財の最適配置、ソフトウェア技術者へのキャリア転進など新たなスキル・知識を磨くための仕組みづくりに取り組むとしている。
組織変更では「将来の注力領域・事業の技術開発加速に向け社長直下の部門の新設」「モノづくり力、生産財の競争力強化に向けた生産・調達関連機能の再編」「ソリューションビジネス強化に向けた営業機能の再編」を実施する。
社長直下の部門の新設では、Reborn21の「環境」分野の大義とした「カーボンニュートラルな製造業」を全社一丸で実現するため、「環境ニュートラルシステム開発部」と「FCシステム事業開発部」を設ける。これらの他、スマートシティーやまちづくりへの貢献を加速し、全社の活動をけん引する司令塔機能となる「まちづくり企画室」、デンソーグループ全体のソフトウェア分野の改革を統括する組織である「ソフトウェア改革推進室」も新設する。
生産・調達関連機能の再編では、国内外グループ会社や仕入先を含めたグローバル全体で、モノづくり戦略の進化と生産供給基盤・競争力の強化を図るため、生産および調達機能を「グローバル生産センター」に統合する。そして、Reborn21の「環境」と「安心」を実現する生産技術開発やグローバルなモノづくり基盤の強化のために「生産技術開発センター」を、モノづくりのソリューション提供を強化するためにFA事業部と社内向けの生産財やFA供給機能を一体化した「インダストリアルソリューション事業部」をそれぞれ新設する。
営業機能の再編では、自動車・社会ソリューションビジネスの強化を図るため、営業グループから市販・サービス機能を独立させ「ソリューション営業グループ」を新設する。これに合わせて、従来の営業機能は「OEM営業グループ」に名称を変更する。
役員等の体制では、現在の副社長、経営役員、執行職・エグゼクティブフェロー、理事という4階層を、経営役員と執行幹部の2階層の体制にフラット化する。これは、「経営の意思決定と執行のスピードアップ」「柔軟な配置ができる組織の実現」が目的となっている。執行幹部には、若手を積極的に登用し幅広いポストに配置するという。
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