検索
特集

超高齢社会の「移動の足」を支えるには? 生きがいになる外出の促進を交通政策白書2020を読み解く(後編)(2/7 ページ)

本稿では交通政策白書2020の「要旨」を基に、前編ではCOVID-19の影響も含めた交通の動向について確認した。後編では、テーマ章である第2部について、日本における高齢者の生活と生きがいづくり、外出の実態について考察した上で、超高齢社会の「足」を支える施策の最新動向や先進的な取り組みを紹介する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

高齢者の生活と生きがいづくりにつながる「外出」

 人々の活動を「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「休む」といった行動に分けて見てみると、近年の高齢者の「働く」「学ぶ」「遊ぶ」といった活動はより活発化している。「働く」については、就業率が上昇し、高齢者になってからの労働意欲も旺盛である(図6、図7、図8)。


図6:高齢者の就業者数及び就業率(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

図7:総業者総数に占める高齢者の割合の推移(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

図8:高齢者の就労希望年齢(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

 「学ぶ」「遊ぶ」については、学習や趣味、スポーツを嗜む高齢者が増加している(図9)。


図9:高齢者の趣味・娯楽、学習・自己啓発・訓練、スポーツの行動者率の変化(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

 外出の頻度別に見ると、「ほとんど毎日」「週に4〜5日」外出する人の7割以上が生きがいを「感じている」一方で、「週に1日程度」しか外出をしない人では約半数、「月に2〜3日以下」しか外出をしない人では約4割にとどまっており、外出の頻度が生きがいの充足度合いに直結していることが分かる(図10、図11)。

 さらに、年齢別に外出の頻度が高い人(「ほとんど毎日」「週に4〜5日」外出する人の計)と外出の頻度が低い人(「週に1日程度」「月に2〜3日以下」外出する人の計)を比較すると、75〜79歳までは、外出頻度の高い人では、年齢を重ねるにつれて生きがいを「感じている」割合が増加傾向にあるのに対し、外出頻度が低い人では、生きがいを「感じている」割合が横ばい、減少傾向となる。


図10:どの程度生きがいを感じているか(外出の頻度別)(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

図11:外出頻度別の生きがいの充足度合い(クリックで拡大)出典:交通政策白書2020

 「働く」「学ぶ」「遊ぶ」といった活動はそもそも外出を伴うものであり、生きがいづくりと外出との関係は切っても切り離せない。さらに、多くの高齢者が勤め先での定年を迎える中で、高齢者の外出は移動手段、移動先ともに多様化していくと考えられる。高齢者の外出を容易にし、行きたいときに行きたいところへ行けるよう支援していくことは、高齢者が生きがいを高めるために重要である。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る