顔と氏名を瞬時にひも付け特定/追跡、TDSLの顔認識AI搭載ソリューション:人工知能ニュース(1/2 ページ)
東芝デジタルソリューションズは2020年11月24日、同社が独自開発した顔認識AIエンジンを搭載して、映像内の人物特定を行うソリューション「カオメタ」の説明会を開催した。独自の顔認識AIエンジンと氏名と顔をひも付けたデータベースを連携させることで、映像内の人物を特定し、追跡し続けることが可能だ。
東芝デジタルソリューションズ(TDSL)は2020年11月24日、同社の顔認識AI(人工知能)エンジンによって映像内の人物特定を行うソリューション「カオメタ」の説明会を開催した。独自の顔認識AIエンジンと氏名と顔をひも付けたデータベースの連携によって、映像内の人物を特定し、追跡し続けることが可能だ。
映像内の人物と氏名をひも付けて特定
TDSLを含めた東芝グループが開発した顔認識AIは、一般的な顔認識AIと異なり、人物を真正面から撮影した画像だけでなく、斜め前から撮影した画像など、顔の全領域が明らかでない状態でも陣物の特定を可能にする。顔の向きなど撮影条件が制限されない画像を用いた顔認識ベンチマークテストでは、国内ベンダーでは1位、世界全体では6位の成績を残している。
カオメタはこのAIエンジンを活用して、映像内の人物推定を自動で実行する顔認識ソリューションである。画像や映像から人間の顔を自動で検知して、顔認識AIによって顔の特徴量を生成する。そして、生成された特徴量を、顔写真と氏名をひも付けて登録したデータベース「顔辞書」上で照合して、その中から類似度の高い顔を検索。最終的に元映像内の人物と最も類似度の高い人物を、リアルタイムで候補として提示する仕組みだ。
導入企業が準備したGPUサーバに導入して使う方式で、そのためオンプレミス型のシステム運用も可能である。GPUサーバに解析対象の映像をSDI/HDMI方式で入力し、また、テロップシステムや素材管理システムなどの放送用機器をWeb API方式で連携することで、解析処理の指示出しや顔辞書の登録、変更などを行えるシステムを整える。
特徴的なのは、映像内の人物追跡を可能にする技術を搭載した点である。具体的には映像内の人物の顔だけでなく、肩部分など人物の顔領域以外も併せて検出することで、映像内の人物を特定の人物として継続的に認識し続け、追跡することが可能だ。横を向いたり斜めを向いたりと認識可能な顔領域が変化する場合や、照明の位置変化などで顔の明るさが変化する場合、通常の顔認証用顔認識AIなどでは対応が難しいが、カオメタであれば安定的な追跡が行える。
この他にも、暗い場所での高精度認識や、スポーツ選手など素早く動く人物の認識にも対応する。また、成人済みの人物は、一度顔辞書に登録しておけば以降の経年変化に影響されることなく人物推定が行える。表情の変化時にも問題なく人物特定、追跡が可能である。ただし、マスクを着用している場合は顔認識が困難になる。TDSL ICTソリューション事業部 メディア・サービスソリューション技術部 技術第二担当 マネジャーの村田時生氏によると「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でマスク姿の人も大変多い。カオメタにとって、今後の開発課題となる」と語った。
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