顔認証入退管理を全国1万5000人規模で導入、パナソニックが自社実践:人工知能ニュース
パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)は、顔認証による入退管理システム「KPAS」を導入したと発表した。同社の全国13拠点50箇所のオフィス、約1万5000人の社員が対象となっている。
パナソニック システムソリューションズ ジャパン(PSSJ)は2020年11月12日、顔認証による入退管理システム「KPAS(ケイパス)」を導入したと発表した。同社の全国13拠点50箇所のオフィス、約1万5000人の社員が対象となっている。
PSSJは、KPASの導入による効果検証や機能強化を目的に、同年3月から汐留本社で部分的な導入を行っていた。今回は、KPASによって得られる利便性や生産性のさらなる向上を目指して全国拠点への運用拡大を決めた。KPASの運用拡大に伴い、管理運営の効率化を図るため、全国の拠点をサーバで一元管理し、勤怠管理システムとのスムーズな連携も実現した。これにより、社員の利便性・生産性や安全性をかなえながら、管理運営側の負担軽減にもつながる、次世代型のオフィス運営を自ら実践する。
今回のPSSJにおけるKPASの運用では、まず既に自社で管理している約1万5000人の社員証ICカードの顔画像をシステムに一括で登録することで、登録作業の軽減を図っている。その際、顔画像の品質を自動的にチェックし、登録後に正しく認証ができないなどの事象を未然に防ぐ工夫も行った。また、社員証ICカードを読み取ってから新たに顔画像を撮影し、即時に更新ができるレジスター(登録端末)も設置し、現場での運用の利便性をさらに向上させている。そして、社内の勤怠システムと連携させることで、顔認証による勤怠管理も実現したという。
また、2020年7月に提供開始したKPASの新バージョンでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応を意識して、マスクで顔が隠れている場合や逆光などで顔が暗く映る場合の顔検出率を従来比で3.1倍、顔認証率を2.2倍に向上させている。
PSSJを傘下に置くパナソニックのコネクティッドソリューションズ(CNS)社は、顔認証とセンシングの技術、高性能エッジデバイスを統合した「現場センシングソリューション」を強化しているが、KPASは主軸商材に位置付けられている。PSSJは、全国規模の自社運用を通して得られるKPASの運用ノウハウや技術検証の成果を踏まえて、今後の製品およびシステムの機能強化を進めていく。例えば、入退室時の顔認証スコアの結果を継続的に分析し、システム管理者と連携することで、認証精度の改善を検証するとしている。
顔認証関連市場は今後高成長が見込まれており、2020年のグローバル市場規模は6600億円に達するという調査結果もある。このうち国内市場規模は310億円で、オフィス、ビル分野については2018年度比で倍増が見込まれている。
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