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日本の交通の動向と新型コロナウイルスが及ぼした影響:交通政策白書2020を読み解く(前編)(3/6 ページ)
本稿では、交通政策白書2020の「要旨」を基に、第1部、第2部と順を追って内容を概観する。前編ではコロナウイルス感染症の影響も含めた、交通の動向について見ていきたい。
貨物輸送
日本の国内貨物輸送量(トンベース)について見ると、長期的には緩やかな減少傾向にある。その背景には、主要な荷主業種による年間総出荷量の減少や、重量のシェアが大きな貨物(砂利・石・石材、生コンクリート、セメント製品、金属製品等)の出荷量の減少があると考えられる(図14、図15、図16)。
2005年度以降の国内貨物輸送量(トンベース)の変動を交通モード別に見ると、いずれの交通モードにおいても、リーマンショックの影響で急減した後はおおむね安定的に推移している。モーダルシフトの影響により鉄道貨物が増加基調にあるが、平成30年7月豪雨をはじめとする大規模自然災害の影響により2018年度は鉄道貨物、航空貨物が急減した(図17)。
日本を発着する国際貨物輸送は、航空と海運に限られるという点では国際旅客輸送と同様だが、海運が99.7%を占め、航空はわずか0.3%であり、国際旅客輸送と逆転している(図18)。
交通モード別に見ると、外航海運(コンテナ)、航空ともにリーマンショックが発生した2008年前後の落ち込みから回復した後、ここ数年においては増加傾向にあったが、2018年度は台風21号に代表される自然災害の影響などにより航空は減少に転じた(図19)。
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