日本の交通の動向と新型コロナウイルスが及ぼした影響:交通政策白書2020を読み解く(前編)(2/6 ページ)
本稿では、交通政策白書2020の「要旨」を基に、第1部、第2部と順を追って内容を概観する。前編ではコロナウイルス感染症の影響も含めた、交通の動向について見ていきたい。
輸送量とその背景、交通事業等の動向
各交通モードはそれぞれの特性を生かしながら、競争・役割分担・連携していることから、交通政策白書2020では、輸送量とその背景、交通事業などの動向について交通モードを横断的に取り扱っている。
旅客輸送
日本の国内旅客輸送量(人ベース、かつ、自家用車によるものを除く)は、1991年をピークに2004年まで減少した後、緩やかな増加に転じたが、リーマンショックが発生した2008年を境に再び減少に転じ、2011年を境に再度緩やかな増加に転じた(図8)。2018年度の各公共交通モードの分担率は、鉄道が81.0%、乗合バスが13.9%、タクシーが4.5%を占めており、航空と旅客船は0.3%である。
2011年度以降の国内旅客輸送量(人ベース)の変動を交通モード別に見ると、鉄道や乗合バスは緩やかな増加傾向にあり、航空はリーマンショック前の水準まで回復するなど、ここ数年は増加傾向にある。一方で、旅客船はここ数年横ばい、タクシーは長期にわたり減少が続いている(図9)。
国際航空旅客輸送について、日本を発着する国際旅客輸送の手段は航空と海運に限られるが、国際旅客輸送量に占める航空のシェアは95.6%と圧倒的に多く、海運は4.4%にとどまる(図10)。
日本を発着する国際航空旅客輸送量について見ると、リーマンショックや東日本大震災の影響とみられる落ち込みの後、訪日外国人旅行者数の顕著な増加や、LCCの利用者の急増により増加している(図11、図12右)。空港別に見ると、近年は関西国際空港の伸びが著しい(図13)。
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