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競合他社は10年遅い、SOLIDWORKSブランドCEOが語る設計の未来に向けた戦略3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020(2/2 ページ)

ソリッドワークス・ジャパンは、年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020」をオンライン開催。その基調講演に登壇した、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏は「The Future Of Design SOLIDWORKS Strategy」と題し、設計の未来に向けたSOLIDWORKSの戦略について語った。

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3DEXPERIENCE WORKSの活用によって得られるメリット

 3DEXPERIENCE WORKSの活用によって得られる利点は、大きく4つあるという。

 1つ目は「データから情報への移行」だ。データベース上での一元管理により、複雑なデータ管理と情報の整理を効率化でき、AI(人工知能)を活用した分析などによって、迅速な意思決定に役立てることができる。

 2つ目は「コネクションからつながりへの移行」だ。プラットフォーム上でコラボレーション環境を提供することで、全てのプロジェクト関係者をつなげることが可能になる。アイデアの共有や調整が迅速に図れ、イノベーション創出を支援する。

 3つ目は「信頼できる唯一の情報源」だ。信頼できる唯一の情報が常にオンラインで利用可能であるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のような有事に直面した際などに、企業に柔軟性と回復力をもたらす。また、1つの共通プラットフォーム上で情報が一元管理されているため、常に最新のデータにアクセスできる。

 4つ目は「デジタル情報の連続性」だ。設計から製造に至るまでのデータ、知識やノウハウなどが、共通する1つのプラットフォーム上で容易に入手でき、かつ一連の連続した情報があることで作業の自動化も促される。例えば、部品選択と合致の自動化によってアセンブリ作業の効率化が図れる。

 バッシ氏はこれらのメリットを挙げた上で、「新たなポートフォリオ(3DEXPERIENCE WORKS)により、設計から製造までの未来が手に入る」と述べ、3つの未来像を紹介した。その姿とは、機械から電気までの「(1)統合された設計」、トポロジー最適化やジェネレーティブデザインなどの「(2)設計の自動化」、設計の全段階における「(3)マルチフィジックスシミュレーション」の実現だ。

設計の自動化について
設計の自動化について ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 そして、あらためてバッシ氏は「3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオは、イノベーションに必要な要素を網羅している」と述べ、知識やノウハウの習得を支援し、迅速に創造性を発揮する必要のあるスタートアップ企業なども、その恩恵を受けることができるとする。

今頃になってクラウドプラットフォームを叫ぶのは10年遅い

 続いて、バッシ氏はSOLIDWORKSの革新的な進化として、「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」を紹介した。

 3DEXPERIENCE SOLIDWORKSとは、3DEXPERIENCEプラットフォームに対応した“コネクテッド版”SOLIDWORKSのことで、従来のデスクトップ版SOLIDWORKSと同様に「Standard」「Professional」「Premium」の3つのグレードが存在し、各グレードに適したオファー(提供の構成)が用意されている。

「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」オファーについて
「3DEXPERIENCE SOLIDWORKS」オファーについて ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 「この3DEXPERIENCE SOLIDWORKSの発表、そしてSOLIDWORKS 2021のローンチとともに、われわれは1つのメッセージを示した。それは『ブランドはSOLIDWORKSで、ポートフォリオは3DEXPERIENCE WORKS』というものだ。3DEXPERIENCEプラットフォームに接続していれば、データは全て同じ。その拡張性や能力は天井知らずといえる。3DEXPERIENCE SOLIDWORKSはクラウドと連携した最強の拡張機能をもたらす。われわれには約10年ものクラウドプラットフォームの実績がある。今頃になってクラウドプラットフォームを叫ぶ競合他社もいるが10年遅い」(バッシ氏)

「われわらには、約10年ものクラウドプラットフォームの実績がある」と述べるバッシ氏
「われわらには、約10年ものクラウドプラットフォームの実績がある」と述べるバッシ氏

 さらに講演では、社内で実施したグランドチャレンジの取り組みとして、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオにおいて、デザイン&エンジニアリング向けのロールとして提供されるWebブラウザベースのパラメトリックモデリングツール「3D Creator」と、Sub-Dモデリングツール「3D Sculptor」の活用事例を紹介。「これは3D Creatorと3D Sculptorの限界に挑戦する取り組みで、大規模なコラボレーションに基づく設計プロジェクトの完成を目指したものだ。課題は1×2kmという大規模な宇宙ステーションの設計。50のモジュールを、10〜12人からなる各チームに割り当て、約600人の従業員が8週間で1万個以上の部品を設計し、組み立てて作り上げた」(バッシ氏)という。

グランドチャレンジ(1)グランドチャレンジ(2) Webブラウザベースの「3D Creator」と「3D Sculptor」で設計した巨大宇宙ステーション ※出典:ソリッドワークス・ジャパン [クリックで拡大]

 そして、最後にバッシ氏は「COVID-19の感染拡大の猛威は企業や人に大きな影響を与え、社会における優先事項が見直されるきっかけを作った。より良い世界を実現するためには、科学、テクノロジーを活用すべきだ。企業もビジネスには回復力が重要であることに気が付いた。そうした中、3DEXPERIENCE WORKSポートフォリオがもたらす優れた接続性や利用の容易性は大きな役割を果たすだろう。このポートフォリオの導入は業界内でのわれわれのポジションをより強固なものにした。未来のモノづくりでは、設計の自動化やAIの活用といった高度な技術を取り入れていく必要がある。その際、(プラットフォームによる)シームレスな連携が不可欠になる」と述べ、3DEXPERIENCE WORKSがこれからの時代に即したポートフォリオであり、SOLIDWORKSにさらなる拡張性をもたらすものであることを示した。

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