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架台設計における解析の勘所と実践手順実例で学ぶステップアップ設計者CAE(6)(2/4 ページ)

初心者を対象に、ステップアップで「設計者CAE」の実践的なアプローチを学ぶ連載。詳細設計過程における解析事例を題材に、その解析内容と解析結果をどう判断し、設計パラメータに反映するかについて、流れに沿って解説する。第6回は架台設計におけるCAE運用をテーマに、解析の勘所を取り上げる。

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2.構想モデル解析の実行と評価

 この構想モデルを基に、マニュアル通りにCAEを実行すると、次のような解析結果が得られるかと思います(図3図4)。

応力解析結果
図3 応力解析結果 [クリックで拡大]
変位解析結果
図4 変位解析結果 [クリックで拡大]

 この解析では、架台の接地面、すなわち架台と床面は固定ジオメトリによって“完全固定”しています。また、全ての部品をソリッドモデルとして要素分割(メッシュ作成)しました。操作マニュアル的には問題ないように思いますが、ここで、

  1. 実態と合っているのか?
  2. 何を見たいのか?

という2つの疑問が生じます。

 まず、「1.実態と合っているのか?」という点ですが、床面と架台は現実世界(実態)において、完全固定されているわけではありません。これまで疑いもなく行ってきた固定ジオメトリには、自由度はありません。しかし、実態では、床面そのものは変位がないとした上で、接地面の平面上には自由度が存在します。

 そこで、「拘束条件」を変更して解析を行ってみます。図5はその比較です。

拘束による比較
図5 拘束による比較 [クリックで拡大]

 この比較から、モデル内での応力値や変位の連続的な変化の傾向に違いは見られましたが、その最大値は同じ結果を得ることができました。大変形を生じない微小変位の領域における検証であるため、この拘束条件による問題は生じない可能性はあるものの、“自由度を意識した拘束条件の設定”はぜひ心掛けてください。。

 次に「2.何を見たいのか?」です。ここでは、架台設計におけるフレームレイアウト(構成)の妥当性を確認したかったわけですが、角型鋼管に対して、ソリッドメッシュによる要素分割を行うことに妥当性はあるのでしょうか。

 これだけ大型の構造物で、厚さ5mmの鋼管に対して理想的なメッシュを作成することは難しいと考えます。ただし、正しいサイズのメッシュを作成しようとすると節点数は膨大になります。「節点数が膨大になる」ということは、計算時間もそれに比例して増えるわけですが、“節点数を増やすこと=効果的なメッシュ作成”ではありません。

 本来、この角型鋼管の特徴を示す断面形状の四隅には、フィレット(R:アール)がありますが、解析モデル化の段階でこれを削除しています(通常の3D設計でも入れないこともあります)。これは、フィレットによってメッシュが複雑になることを避けるために行われるわけですが、加えて、梁(はり)として鋼管の軸方向の評価を行うためのものでもあります。

 では、これまで解析で使用してきたソリッドメッシュ以外にどのようなメッシュがあるのでしょうか。その種類や用途について考えてみましょう。

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