CPSテクノロジー企業を目指す東芝、ソフトウェアはどのように開発しているのか:製造ITニュース(3/3 ページ)
東芝が、同社の事業戦略の中核を成すCPSを支えるソフトウェア生産技術について「説明。アジャイルプロセスなどを活用することで、IoT関連のサービスであれば約2週間のスパンでリリースできる体制を構築できているという。基幹系システムなどのソフトウェア開発で重要な役割を占める要件定義プロセスにAIを適用するための取り組みも進めている。
なぜ要件定義プロセスへのAI適用に取り組むのか
ソフトウェア開発におけるAI適用の取り組みは、モード1のウオーターフォールモデルで必要な要件定義プロセスが対象になっている。TDSL ソフトウェアシステム技術開発センター システムエンジニアリング開発部 ステム開発標準担当 スペシャリストの北川貴之氏は「近年、ソフトウェア開発へのAI適用が注目を集めているが、その多くが開発とテストのプロセスを対象としている。その一方で、モード1の要件定義プロセスへのAI適用についてはまだ取り組みが少ない。だからこそ、自社で取り組む意義がある」と語る。
要件定義プロセスでは、顧客である発注者からのRFP(提案依頼書)を入力として「要求獲得」を行い、ソフトウェアに必要な機能や非機能(性能、可用性など)を明らかにする「要求分析」を実施した後、「要求仕様化」によって要件定義書として出力することになる。これらのうち、顧客が顧客自身の業務目線で実現したいことを記載しているRFPからさまざまな要件を分類する作業は人間が行っているため、時間がかかるとともに、読み落としによる漏れ抜けも起こり得るという課題があった。
そこでこの要件分類を自動化するため、深層学習(ディープラーニング)に着目した先行研究を行った。そこで、Webサイトから収集した官公庁のRFPを手作業でラベル付けして教師データとし、自然言語処理技術の一つである「Word2VEC」を用いて分類モデルを作成した。なお、収集したRFPは71ファイル、文章数は2万9068である。
分類モデルの正解率は、予測確率上位1位の種別が合致している場合で62%、予測確率上位1〜3位の種別が合致している場合で86%となった。「自動化という観点では正解率は十分とはいえないが、人手による要件分類作業の漏れ抜けを防止するレビューを補完する効果は期待できそうだ」(北川氏)という。なお、今後半年〜1年をかけて社内でのPoC(概念実証)を進めていくとしている。
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