好調な国内CAD/CAM/CAE市場、新型コロナのマイナス影響は2021年度から:メカ設計ニュース
矢野経済研究所は、日本国内におけるCAD/CAM/CAEシステム市場に関する調査結果の概要を発表した。2020年度まではプラス成長を維持するものの、2021年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による企業収益の悪化や設備投資の減少が予測され、マイナスに大きく転じるとみられる。
矢野経済研究所は2020年10月26日、日本国内におけるCAD/CAM/CAEシステム市場に関する調査結果の概要を発表した。2020年度まではプラス成長を維持するものの、2021年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による企業収益の悪化や設備投資の減少が予測され、マイナスに大きく転じるとみられる。
COVID-19がもたらしたエンジニアの働き方の変化
国内のCAD/CAM/CAEシステム市場規模(メーカー出荷金額ベース)は、2019年度は前年度比5.2%増の3958億円と好調に推移。特に、製造業における設備投資の増加が後押しした。2019年10月の消費税増税により、個人消費は冷え込んだものの、企業の設備投資額は依然として高い水準を維持しているという。
大きな変化をもたらしたのが、COVID-19の感染拡大だ。製造業のエンジニアにおいてもテレワーク(在宅勤務)の活用が進み、クラウドを介してCAD/CAM/CAEシステムを利用したり、Web会議システムで打ち合わせやデザインレビューを行ったりするなど、新しい働き方が定着しつつある。
現在、日本国内では、オンプレミス環境によるCAD/CAM/CAEシステムの利用が主体となっているが、今後はクラウドや仮想化技術をベースとする新たなプラットフォームへの移行が急速に進むものとみられている。
2021年度は正念場、大きく下落するCAD/CAM/CAEシステム市場
2020年度の国内CAD/CAM/CAEシステム市場規模(同)は、前年度比3.1%増の4081億円になる見通しだという。2020年度の設備投資の多くはCOVID-19の感染拡大前に決定し実行されるため、成長自体は減速するもののプラス成長を維持するとしている。
COVID-19により企業収益が悪化し、設備投資額が減少する影響は2021年度に出てくるとし、最大で前年度比−20%と大きく下落すると予測。2021年度は、CAD/CAM/CAEシステムメーカーにとって正念場になるとみられる。
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