電子ビーム方式の金属3Dプリンタ向けに電子源をグローバル販売:3Dプリンタニュース
日立ハイテクは、電子ビーム方式の金属3Dプリンタ向けに、Applied Physics Technologiesが製造する単結晶素材の電子源をグローバル販売する。同方式の金属3Dプリンタは幅広い分野での活用が見込まれ、電子源の需要増に対応する。
日立ハイテクは2020年10月14日、電子ビーム方式の金属3Dプリンタ向けに、グループ会社のApplied Physics Technologies(APTech)が製造する、単結晶素材の電子源をグローバル販売すると発表した。同方式の金属3Dプリンタは幅広い分野での活用が見込まれており、同社のネットワークを通して、世界各国への販売拡大を目指す。
幅広い活用が見込まれる電子ビーム方式の金属3Dプリンタ向けに
電子源は、先端から電子ビーム(電子線)を発生させる電子部品。APTechは、顧客が必要とする造形速度、造形密度に応じた電子源の設計経験、出荷実績を豊富に持ち、LaB6(六ホウ化ランタン)、CeB6(六ホウ化セリウム)、HfC(ハフニウムカーバイド)を原料とした電子源など多くの製品を展開している。また、単結晶の先端形状や電子源アセンブリなど、さまざまな仕様を自社で設計、製造できる強みを持つ。
APTechの電子源が採用されている電子ビーム方式は、レーザービーム方式より高速、高出力でスキャンできる。また、真空中で造形することから、耐腐食性、耐熱性に優れ、高強度のチタンや銅など、融点の高い金属にも対応。そのため、航空宇宙エンジンシステムのパーツや自動車のアフターパーツなど、幅広い分野での活用が見込まれている。
同社は今後、これまで培ってきた海外ネットワークを活用し、全世界を対象に電子源の販売を進めるとしている。
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