検索
ニュース

持続可能な社会に「直列」につながる、アズビル新社長の山本氏が意気込み製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

アズビルの代表取締役社長兼執行役員社長(以下、社長)に新たに就任した山本清博氏が今後の方向性などについて説明。同社が掲げる5つの道標のうち『持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献』を基にしたさまざまな施策を進めるとともに、新設の「ITソリューション推進部」や「クラウド運用センター」によりDX化を加速させる方針だ。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 アズビルは2020年8月21日、東京都内で会見を開き、同年6月に代表取締役社長兼執行役員社長(以下、社長)に新たに就任した山本清博氏が今後の方向性などについて説明した。山本氏は同社が掲げる5つの道標のうち『持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献』を基にしたさまざまな施策を進めるとともに、新設の「ITソリューション推進部」や「クラウド運用センター」によりDX(デジタルトランスフォーメンション)化を加速させる方針だ。

アズビルの新社長に就任した山本清博氏
アズビルの新社長に就任した山本清博氏(クリックで拡大)

 アズビルの2019年度業績は、売上高2594億円、営業利益が272億円。セグメント別の売上高は、商業ビルのオートメーションなどを扱うビルディングオートメーション(BA)事業が1237億円(全体の47.4%)、工場やプラントのオートメーションを手掛けるアドバンスオートメーション(AA)事業が931億円(同35.7%)、医療施設の設備やガス、水道のメーターなどのオートメーションに関わるライフオートメーション(LA)事業が440億円(同16.9%)となっている。17カ国で34の現地法人を展開しており、連結従業員数は9897人に上る。

 山本氏は「2021年で創業から115周年を迎える当社は、変わりゆく社会のニーズを捉えながらオートメーションを探求してきた。今後も『人を中心としたオートメーション』という理念を堅持していく」と語る。そして、この理念を実践するための行動方針が先述した5つの道標である。「アズビルのオートメーションにとって、『持続可能な社会へ「直列」に繋がる貢献』は、一番腹落ちするものだと思っている」(同氏)という。

アズビルの企業行動指針となる5つの道標
アズビルの企業行動指針となる5つの道標(クリックで拡大) 出典:アズビル

 アズビルは、前社長で現代表取締役会長兼執行役員会長の曽禰寛純氏の下で、2013〜2016年度、2017〜2019年度の2期にわたって中期経営計画を進めてきた。そして、新たに山本氏の新社長就任が定まった中、2019年度の決算発表のタイミングで、2020年度以降の中期経営計画を発表する予定だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響もあり延期している。

 同社業績の長期目標は営業利益300億円以上、売上高3000億円規模、ROE10%以上であり、COVID-19の感染拡大以前は2021年度の達成を目指していた。山本氏は「COVID-19の影響を合理的に判断することが可能になった段階で、あらためて新中期経営計画とともに達成時期を示したい」と説明する。

アズビルグループの展開の方向性と長期目標
アズビルグループの展開の方向性と長期目標(クリックで拡大) 出典:アズビル

 ただし、グローバル展開の強化や「新オートメーション領域開拓」「環境・エネルギー分野拡大」「ライフサイクル型事業強化」という3つの事業領域における戦略的取り組みの加速を図る方向性に変更はない。

 現在のアズビルの海外売上高比率は約2割にとどまっており、今後の成長に向けてグローバル展開の強化は必須だ。BA事業については、国内向けで評価されている高品質の製品やサービスが、海外ではコスト面で競合に太刀打ちできず伸ばせていない状況があった。「しかし、海外でも高品質のものを求める需要が生まれており、そこにチャンスがある」(山本氏)。一方、AA事業については、国内で多く求められる「既存設備をより長く運用できるようにする」(同氏)というニーズが、海外でも必要とされる段階に入りつつあるとした。

 また、このCOVID-19の影響で対応を迫られたリモートワークでの営業展開などの経験により、従来よりもコスト競争力を持たせられる手応えが得られているという。山本氏は「これまで海外市場では人海戦術的な手法で営業展開していたが、必ずしもそうでなくても成果が得られることが分かってきた」と述べる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る