検索
連載

ラズパイとAI-OCRで生産日報を電子化する(前編)ラズパイで製造業のお手軽IoT活用(4)(2/2 ページ)

小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」を使って、低コストかつ現場レベルでIoT(モノのインターネット)を活用する手法について解説する本連載。第4回と第5回では、AI技術の活用事例として注目を集めるAI-OCRとラズパイの組み合わせによる生産日報の電子化について前後編に分けて解説します。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「生産日報電子化」の手順

 ここからは、ラズパイ+AI-OCRによる生産日報電子化をどのように実現するかについて、順を追って説明します。

1.手書きで日報を記入する

 まずは、手書き日報のフォーマットについて、数字を認識しやすいように若干の変更を加えます。図2に示した生産日報では、「成形数(ショット数)」や「ランニング不良」といった項目に記入される数字を認識しやすくするため、記入欄にマス目を付けて数字を1文字ずつ書き込むようにしています。このように、手書き日報そのものを認識しやすいフォーマットにしておく必要があります。その上で、日々の生産日報を記入します。

図2
図2 数字を認識しやすくした生産日報フォーマット。赤線で囲んだ「成形数(ショット数)」、青線で囲んだ「ランニング不良」とも、記入欄にマス目を付けてある(クリックで拡大)

2.手書き日報をラズパイで読み取り、テキストデータに変換する

 ラズパイで撮影した手書き日報の画像データをテキストデータに変換するために「tesseract(テッセラクト)」というOCRのオープンソースソフトウェアを利用します。tesseractは、画像データの中にある文字をテキストデータに変換する機能を備えるとともに、機械学習機能を利用して文字認識の際に学習モデルを使って認識率を向上させることができます。

 図3のように、手書き日報をカメラ付きのラズパイの下に置いて、画像データとしての撮影とtesseractによるテキストデータ変換をボタン1つで行えるようにします。ボタンは、低価格で購入できる市販のBluetoothボタンを使用すればよいでしょう。ボタンの押下に合わせて、カメラによる画像データの撮影、ラズパイ内に設定しているtesseractの起動、画像データからテキストデータへの変換を行います。

図3
図3 カメラ付きラズパイで生産日報を読み取る

 今回は、図4に示すように、「成形数(ショット数)」「ランニング不良」の記入欄で、数字が記入されている箇所をテキストデータに変換します。数字を認識している箇所が分かるように緑色で示してあります。

図4
図4 文字認識する箇所の例。赤線で囲んだ「成形数(ショット数)」、青線で囲んだ「ランニング不良」のうち、緑色で示した数字が認識される(クリックで拡大)


 次回の後編では、ラズパイとAI-OCRを用いた「生産日報電子化」の手順の続きを説明します。

⇒前回(第3回)はこちら
⇒次回(第5回)はこちら
⇒本連載の目次はこちら

本連載執筆の山田浩貢氏のIoT関連書籍が好評発売中です!

筆者紹介

株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)

NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、

原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る