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自動車部品の生産が終わるのはいつ? 「打ち切り」までの道のりいまさら聞けない自動車業界用語(4)(1/2 ページ)

今回解説する自動車業界用語は「量産品と補給品/打ち切り」です。基本的な用語ですが、区別を聞くと意外とすぐに答えられない、また補給品や打ち切りは実務で非常に問題の起きやすい所でもあります。この記事でぜひ定義、また現状を知っていただけたらと思います。

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自動車部品メーカーで働くカッパッパです。
みなさんはクルマが壊れたらもちろん修理しますよね。
修理するための「補給部品」、実は悩みの種だったりするのです……。


 今回解説する自動車業界用語は「量産品と補給品/打ち切り」です。基本的な用語ですが、区別を聞くと意外とすぐに答えられない、また補給品や打ち切りは実務で非常に問題の起きやすい業務でもあります。この記事でぜひ定義、また現状を知っていただけたらと思います。

→「いまさら聞けない自動車業界用語」バックナンバーはこちら

量産品と補給品の違い

 自動車の部品は大きく2つに分けることができます。

  • 量産品:工場で完成車に組み付けられる部品
  • 補給品:市場に出たクルマの修理に使われる部品

 量産品はトヨタ自動車では「号口品」とも言われ、完成車メーカー各工場に納入され現在生産されている車両に組み付けされる部品です。一方、補給品は部品単品で梱包(こんぽう)し、各メーカーに修理用として納入され、販売店や修理工場へ供給される部品のことです。サービスパーツといわれることもあります。

 簡単にまとめると「量産(号口)品=完成車」「補給品=修理」で覚えておけば問題ありません。

 以前、開発スケジュールの記事でまとめたように、車両がSOP(L/O、ラインオフ)になると、工場での生産が立ち上がり、量産品の使用が始まります。モデルが発売され、市場に出ると修理するための部品も必要になり、補給品の出荷も始まっていきます。補給品は市場と直接結び付いているため、修理したいのに完成車メーカーの補給部品在庫がないといった場合には、緊急品としてサプライヤーに発注が来ることもあります(トヨタの場合「まるちょう」と呼ばれます)。

 使用されていた量産品が完成車工場で使われなくなることを、「量産打ち切り」と言います。後に説明する補給品の供給年月に関わるため、ただ単に車両の組み付け台数が減り、それに応じて使用数が減っている場合と量産打ち切りになっているかは明確に区別しておく必要があります。

量産品の生産が終わるタイミング

 量産打ち切りが行われる場合は幾つかのパターンがあります。

  1. 使用されていた車両の生産が終わる(EOP:End Of Production)
  2. 設計変更により別の品番に切り替わる
  3. 他のサプライヤーに切り替わる

 実は、この量産打ち切りをスムーズに行うことは完成車メーカーとサプライヤーの双方にとって非常に重要な業務です。打ち切りを行う際には、自社やサプライヤーを含めた部品在庫状況、仕掛品の数、材料を含めた発注数量、生産状況を確認する必要があります。

 打ち切りを実施する時期に対し、過剰に在庫や発注があれば引き取られない在庫(デッドストック)が発生するからです。デッドストックが転用できない場合は最悪廃却するしかありません。自動車業界は裾野が広く、完成車メーカーに納入されるまでに、4次、5次サプライヤーまであるといったことも多くあります。材料も含めて専用品となっている場合、発注から生産完了までの期間(生産リードタイム)が半年近くかかるものや、生産ロットが大きい部品、海外から輸入している部品もあるため、打ち切りの時期や残りの数量を明確にし、デッドストックの発生を抑制する必要があるのです。


デッドストックを発生させずに量産品の生産を終えるには、把握すべきポイントが多い(クリックして拡大)

 実際には緊急で打ち切りになることも多く、その際には余った在庫に対して引き取り、補償を実施することもあります。ただ責任区分について不明確な場合が多く、情報を事前に発信し、完成車メーカーだけでなくサプライヤー含めデッドストックが発生しない打ち切りを行うことがベストです。

 そして、量産打ち切り後も「補給品」としての供給は必要になります。クルマは工場で生産されなくなった後も、市場で走り続け、修理用として部品は使用されるからです。実は、この補給品はサプライヤーにとって大きな悩みの種になっています。

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