曖昧な発話も読み取るAIアバター、外食産業にDXの波を起こせるか:スマートリテール(2/2 ページ)
Eggs 'n Things Japanは2020年7月27日、東京都内で記者会見を開催し、AIアバターが顧客との対話を通じて一般的なレジ業務を遂行する「AIアバターレジ」を、AIスタートアップのウェルヴィルと共同開発したと発表した。会見ではバッテリーレスのBluetoothタグ技術を活用したカスタマートラッキング技術なども紹介した。
バッテリーレスのBluetoothタグ技術で顧客の店内位置も把握
また松田氏は、Eggs 'n Things JapanによるDXの取り組み成果として「カスタマートラッキングシステム」も紹介した。レジで商品を注文した際にトラッキングデバイスのペンダントを渡すことで、店内での顧客の位置情報が常に把握できるというシステムだ。トラッキングデバイスには、ラベルプリンタなどの開発と販売を手掛けるサトーの協力の基、バッテリーレスのBluetoothタグ技術も活用している。同技術はBluetoothタグ周辺を飛ぶWi-Fiなどの通信電波を利用して電力を生むため、バッテリーがなくともBluetoothによる通信が実現できる。
ペンダントを身に着けている顧客の移動状況や着席位置などを店舗側が把握できるため、注文商品を顧客の座席へと、短時間で迷いなく届けられるようになる。顧客側からしても、席を確保した上で注文商品が届くのを待てるので安心感があり、また、呼び出しブザーと違って音や振動も発生しないのでストレスも少なくて済むというメリットがある。
またBluetoothでトラッキングを行うことで、単なる位置情報だけでなく、顧客に関するより多くの付帯情報も店舗が取得できるようになる。例えば、レジ前に商品注文の行列ができているケースを想定する。この際に、顧客の待ち時間を個別に計測すれば、待ち時間に応じた接客サービスを用意して個別にケアしていくことも可能だ。
また松田氏は「当社ではテーブルに設置したQRコードを読み取ることでスマートフォンから直接注文が可能になる『テーブルオーダーシステム』も開発している。これとカスタマートラッキングシステムを組み合わることで、顧客がレジに立ち寄ることなく着席したまま注文から商品受け取りを済ませるシステムも開発可能だ」と説明する。
今後のDXへの取り組みについて、松田氏は「外食産業で活用されているITシステムは、1970年代から革新がほとんど起きていないと評されるほど古い。当社ではDXを通じて、食のホスピタリティをさらに向上させる取り組みを推進していきたい」と意気込む。
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