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産業向けIoT通信技術として生まれ変わるBluetooth製造業IoT(1/3 ページ)

Bluetooth SIGは新たにリリースした「Bluetooth mesh」について国内でアピール。新たにIoT向けの産業用ネットワークとして訴求を強化する方針を示した。

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 Bluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)は2017年9月8日、同年7月にリリースした「Bluetooth mesh」の概要を紹介し、新たにIoT向け産業用ネットワークとしての展開を強化する方針を示した。本稿では「Bluetooth mesh」の概要を紹介するとともに、Bluetooth SIGマーティング担当バイスプレジデントのケン・コルドラップ(Ken Kolderup)氏のインタビューをお伝えする。

Bluetooth meshとは

 Bluetooth meshとは、多対多(M:M)間デバイス通信が可能なメッシュ接続機能を有したBluetooth規格である。Bluetoothといえば、通信距離が10m以下のパーソナルエリアネットワーク(PAN)として注目され、特にオーディオストリーミングの領域で大きく成長してきた。ワイヤレスヘッドセットやワイヤレススピーカー、カーオーディオなどBluetoothワイヤレスオーディオ市場は、2016年には6億4700万台の市場となり、2022年には年間10億台を出荷する市場になると見込まれている。このワイヤレスオーディオで主に使われている規格は「Bluetooth Basic Rate / Enhanced Data Rate(BR/EDR)」である。

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Bluetoothワイヤレスオーディオ市場の推移(クリックで拡大)出典:Bluetooth SIG

 その後、IoT(モノのインターネット)などコネクテッドデバイスの増加により、省電力規格である「Bluetooth Low Energy(LE)」が注目されるようになり、スポーツやフィットネス用の機器や、健康・介護関連機器、PC周辺製品やアクセサリーなどで利用されるようになった。これらの機器を含むBluetoothコネクテッドデバイスの市場は2016年が4億9600万台だったのに対し、2022年には15億台へと拡大する見込みだという。

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Bluetoothワイヤレスオーディオ市場の推移(クリックで拡大)出典:Bluetooth SIG

 通信規格として機能強化が進む一方で、トポロジー(ネットワークの接続形態)についても拡張が進んでいる。ここまで紹介した、ワイヤレスオーディオやコネクテッドデバイスでの活用については、ポイントツーポイント(1:1)通信であったが、1:m(1対多)のブロードキャスト通信を追加。局所的な情報共有を可能とし、主にビーコンとしての活用が進みつつある。ブロードキャストとしてのニーズはまだ少ないが、Bluetoothビーコン市場は2022年には7億5000万台まで拡大する見込みである。

 そして、新たなトポロジーとして2017年7月に追加されたのが、m:m(多対多)のメッシュ通信である。メッシュ通信は、通信機能を持った端末同士が相互に通信を行うことで、網の目(メッシュ)状に形成された通信ネットワークのことだ。メッシュ状の通信ルートが構築されるため、どこか端末が一カ所故障したり、破損したりしても代替ルートが自動的に構築でき、自己復旧が設定できる。

 「Bluetooth mesh」は2017年7月18日に仕様書が公開され、テストおよび認証ツールの提供を開始している。開発コミュニティーによって、仕様やツールの開発などを進めてきたため、スペック策定と同時に相互運用性のテストなども進めており、既に多くの領域で相互運用性の確認がとれている状況である。Bluetooth SIGのコルドラップ氏は「数多くのテストイベントを開催し1300のテストケースを用意。ここに数十社のサプライヤーが参加して相互運用性をテストしている。これにより開発者は信頼性の高い技術を活用できる」と述べている。「Bluetooth LE 4.0」以上で動作するため、既に数多くのデバイスが追加設定によりメッシュ通信を使用できる環境にあることも利点だとしている。

コンシューマー向けから産業用へのシフト

 「Bluetooth mesh」が従来のBluetooth規格と大きく異なっている点が、産業用をメインに位置付けている点である。コルドラップ氏は「最初から産業用グレードを目指して規格策定を進めた」と述べる。具体的には「信頼性」「拡張性」「セキュリティ」の点で、強みを持つとしている。メッシュ化による自己回復ネットワークとともに、数千のノードに簡単に拡張できる点などを特徴としている。セキュリティについてもレイヤーごとにノード内の通信の妥当性を検証する仕組みが入っている他、メッセージ内のID以外を難読化する仕組みなど、さまざまなセキュリティ機能をアーキテクチャとして組み込んでいることが特徴である。

 コルドラップ氏は「産業用グレードのIoT向け通信で要件を満たすものがなかった。メッシュ通信なども他の規格が存在するが、信頼性や拡張性などで十分だといえないもので、新たな機会が存在すると考えた。新しい通信環境を提供することで新たな市場を生み出すことができると考えている」と「Bluetooth mesh」の価値について語っている。

photophoto Bluetooth SIGに参加するWHEREが考える「Bluetooth mesh」の位置付け(左、出典:WHERE)と東芝が考える「Bluetooth mesh」の位置付け(右、出典:東芝)(クリックで拡大)
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