産業向けIoT通信技術として生まれ変わるBluetooth:製造業IoT(2/3 ページ)
Bluetooth SIGは新たにリリースした「Bluetooth mesh」について国内でアピール。新たにIoT向けの産業用ネットワークとして訴求を強化する方針を示した。
「Bluetooth mesh」は「Bluetooth」にとって大きなチャレンジ
ここからは、「Bluetooth mesh」の意義についてコルドラップ氏のインタビューをお伝えする。
MONOist 従来は民生用を中心としPANとして展開してきたBluetoothが、「Bluetooth mesh」ではパーソナルエリアを大きく飛び越え、さらに産業用へとシフトするといいます。大きな変化だと思うのですが、どのように捉えていますか。
コルドラップ氏 まさにその点が、Bluetooth SIGにとっても大きなチャレンジであり、マーケティング担当である私の大きな役割の1つでもある。
Bluetoothという技術そのものは産業用としても使用できるものだったが、ワイヤレスオーディオやコネクテッドデバイスなど民生用に近い領域での使用が広がったことにより、これらに合わせた発展をしてきた。さらに、Bluetoothは民生用だというイメージが出来上がっていった。
ただ、IoTなどが発展する中、通信技術を見渡した場合、必ずしも最適な技術が行きわたっている状況ではないことが分かった。Bluetoothの強みを生かせる「スペース」を模索する中で、新たに産業用のIoT向け通信技術として「Bluetooth mesh」を打ち出すことにした。
産業用IoTではスモールスタートしてから拡張していく場合も多い。一方で、人命や生活などに関わる場合も多く信頼性やセキュリティは重要になる。こうしたニーズをBluetoothは満たしており、さらにメッシュ通信により、拡張性などについてもカバーできるようになり、IoTに最適な通信技術として打ち出していく。まずは、民生用で固定化されたマインドセットを打ち破り、産業用としてのイメージを作り出していきたい。
広い屋外はLPWA、屋内はBluetooth mesh
MONOist IoT向けの通信技術としては、LPWAネットワーク(Low Power Wide Area Network)なども注目されています。住み分けなどについてはどう考えていますか。
コルドラップ氏 基本的にはIoT向けの通信技術は1つの技術で全てをカバーするようなものではない。そのため、最適な領域で最適な使い方をするべきだと考えている。
具体的には、屋外など広いエリアで、対象の端末が点在しているような場合は「Bluetooth mesh」には不向きで、LPWAの方が得意だといえる。例えば、農場や工事現場などでの使用だ。一方で、屋内で数多くのノードが発生するような場合は、LPWAは不向きで「Bluetooth mesh」の方が得意だ。これはビルオートメーションやビル内の照明管理、機器接続による資産管理などである。
これらの中間的な存在である街灯などについては、それぞれの技術を採用したユーザー企業がどのような製品を作るのかによって変わってくる。時代が進む中でどちらの技術を採用した方がよいのかが徐々に明らかになるという流れだろう。
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