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始まりはCEATECの出会いから、LIXILのIoTサービスは親子の絆を再び強めるイノベーションのレシピ(1/2 ページ)

LIXILグループ傘下のNITTO CERAは、遠隔地に住む親のトイレ使用状況を可視化するIoTサービス「omu」を開発し、クラウドファンディングを開始した。omuの開発はどのように進められたのか。開発を担当したLIXIL WATER TECHNOLOGY JAPANの浅野靖司氏と稲田ゆか理氏に聞いた。

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 LIXILグループ傘下のNITTO CERAは、遠隔地に住む親のトイレ使用状況を可視化するIoT(モノのインターネット)サービス「omu」を開発し、Makuakeを活用したクラウドファンディングを開始した。クラウドファンディングの期間は2020年6月16日〜9月13日の約3カ月間で支援目標金額は200万円だ(omuのクラウドファンディングWebサイト)。

 高齢化が進む日本だが、親と子が同じ住宅に住んでいないことも多い。このため、スマートフォンなどを活用した「高齢者見守り系サービス」が多数提案されている。また、カメラなどを使った介護システムの枠組みに入る高齢者見守り系サービスも数多く存在している。「遠隔地に住む親のトイレ使用状況を可視化するIoTサービス」とだけ聞けば、omuも、あまたある高齢者見守り系サービスの一つにすぎないと感じるかもしれない。

 しかしomuの開発コンセプトは“親を想うきっかけを作る”となっており、既に何らかの障害を抱えている親の状態を見守り、異常があった時に駆け付けることが主な用途となっている既存の高齢者見守り系サービスとの違いを打ち出している。

 omuのデザインを担当したLIXIL WATER TECHNOLOGY JAPAN 新規事業推進部 デザイナーの稲田ゆか理氏は「別々の家に住んでいる親と子は、たとえ近くに住んでいても会わないことが多い。子にとってそれは日々の罪悪感のようにもなる。omuは、親のいつも通りが分かることで親への想いを日常にして、親子の絆を再び強めるためのIoTサービスだ」と語る。

LIXILの浅野靖司氏と稲田ゆか理氏
「omu」の開発を担当したLIXIL WATER TECHNOLOGY JAPANの浅野靖司氏(左)と稲田ゆか理氏(右)。手に持っているのがomuで用いるIoT機器(クリックで拡大)

トイレはその家で暮らす人の動きを確実に捉えられるポイント

 omuは、トイレの水タンク上部の手洗いに設置するIoT機器と、IoT機器と連携するスマートフォンもしくは専用ゲートウェイ、IoT機器が検知したトイレの使用データをクラウドで蓄積、可視化するアプリケーションから構成されている。稲田氏は「見守り系サービスでは、その家で暮らす人の動きを確実に捉えられるポイントが重要になる。各種住宅設備機器を扱うLIXILとして、トイレは確実に情報が得られる場所と考えていた」と説明する。

 IoT機器は、上方から下方に水を通す穴が開いており、トイレを使用した際に手洗いの蛇口から流れ出る水がこの穴を通ることをセンシングしてトイレの使用を検知する。通信はBluetooth 4.1を用いており、通信距離は十数m程度を確保している。そしてIoT機器の連携対象となるスマートフォンもしくは専用ゲートウェイを経由してクラウドにデータが送信される仕組みだ。このため設備工事は不要である。

「omu」のIoT機器上方から下方に水を通す穴が開いている 「omu」のIoT機器(左)。直径78mm×高さ41mm、重量約105gで、トイレの水タンク上部の手洗いにちょうど収まる。上方から下方に水を通す穴が開いており、トイレを使用した際に手洗いの蛇口から流れ出る水がこの穴を通ることをセンシングする(右)(クリックで拡大)

 omuのスマートフォンアプリを使えば、蓄積したデータを基にトイレの使用状況を可視化できる。時間当たりに設定した以上の回数使用した場合には「使いすぎ通知」、一定時間内にトイレの使用がなかった場合には「使ってない通知」、深夜など設定した時間内での使用があった場合の「使った通知」などのアラート通知機能もある。この他にメッセンジャー機能もあり、親の外出予定などを確認することもできる。

スマートフォンアプリの画面イメージスマートフォンアプリの画面イメージ 「omu」のスマートフォンアプリの画面イメージ。トイレの使用状況を可視化するとともに(左)、メッセンジャー機能も備えている(右)(クリックで拡大) 出典:LIXIL

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