小田急がMaaSに取り組むのは、持続可能な街づくりのため:モビリティサービス(2/2 ページ)
スマートドライブは2020年4月28日、オンラインセミナー「Mobility Transformation 2020」を開催した。次世代モビリティに関するセッションでは、小田急電鉄 経営戦略部 課長 次世代モビリティチーム統括リーダーの西村潤也氏がスマートドライブ CRO レベニュー責任者の弘中丈巳氏とともに登壇。
もう1つは、電子チケット機能で、例えば「デジタル箱根フリーパス」(周遊チケット)をアプリ内で購入でき、アプリの画面がチケット代わりになる。また、小田急の商業施設エルミロードで一定以上の金額で買い物をし、レシートを提示することでアプリ内に2枚のバス無料チケットを付与するサービスや、「箱根そば」「おだむすび」「HOKUO」などの飲食店で使える飲食サブスクリプションのチケットなども用意している。
また、オープンな共通データ基盤として「MaaS Japan」を開発し、小田急と同等の機能をアプリケーションで展開できるサービスを進めているという。他の鉄道事業者や自治体は、MaaS Japanを用いることで投資を抑えながら検索エンジンや交通サービスの手配、電子チケットの組成などを導入でき、ユーザーアビリティの向上にもつながる。既に提携企業は10数社に上っており、2020年2月にはJR東日本が自社のモビリティリンケージプラットフォームとの活用による「立川おでかけアプリ」の実証実験を実施した。
新型輸送サービスの取り組みでは2018年と2019年夏に江の島で、2019年冬に多摩ニュータウンで自動運転バスの実証実験を行った。小田急グループには神奈川中央交通や小田急バスなど数社のバス会社があり、各社が共同で実証を進めている。
2020年2月には「しんゆりシャトル」という名称でオンデマンド交通を実施。新百合ヶ丘駅周辺約5km2の範囲に乗降地点約500カ所を設け、このミーティングポイントに来てもらって乗車するというサービスだ。実証は無償で実施した。車両はトヨタ自動車「アルファード」を最大4台使用しており相乗りとなるが、出発地と目的地を指定することで簡単に利用可能だ。
「バスとタクシーの間に位置する隙間を狙ったモビリティを考えている。乗りたいときに迎えに来て、目的地に連れて行ってもらえるという形で、買い物や通院などに使っていただけるのでは。ミーティングポイントまで少し歩くことになるものの、クルマの運転をプロに任せることで新しい地域の足として期待できる」(西村氏)
スマートドライブは小田急のこうした取り組みの一環として、安心、快適な新しいモビリティライフの実現に向けたプロジェクトを協業し進めている。2020年3月には小田急沿線で、家族見守りサービス「SmartDrive Families」を開始した。将来的には、安全運転に対するポイント付与機能の活用や、免許返納を行う人や運転に不安をもつ人への公共交通機関の利用提案などを行う。スマートドライブでは「安心、快適、愛着の3つをキーワードにモビリティライフを作っていく」(弘中氏)としている。このほか、セッションでは鉄道やバスの中でソーシャルディスタンスが保たれているかどうかを把握できるシステムの必要性などが話し合われた。
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