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新型コロナ対応で重要なオンライン診療と接触追跡技術、海外と日本の違いは海外医療技術トレンド(59)(4/4 ページ)

前回紹介した、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応下の米国の遠隔医療サービスやモバイルヘルスの動向に続けて、今回は、日本の遠隔医療サービスやモバイルヘルスの技術が米国などと比較してどのような状況にあるかを見ていこう。

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コンタクトトレーシング技術のグローバル標準化に向けて

 今後、コンタクトトレーシング技術やそれを使いこなせる制度的仕組の構築が必要とされるは、アフリカに代表される新興国市場だ。

 本連載第47回で、世界保健機関(WHO)の「デジタルヘルス決議」(2018年5月26日採択、関連情報、PDF)や、「2020-2024年グローバルデジタルヘルス戦略」草案(2019年3月26日公表、関連情報、PDF)、「WHOガイドライン−保健医療システム強化のためのデジタル介入に関する推奨事項」(2019年4月17日公表、関連情報)を取り上げた。

 WHOのデジタルヘルスでは、COVID-19のような感染症よりも、慢性的生活習慣病のような非感染症(NCD)を主要対象領域としているが、社会課題解決のための戦略フレームワークやセキュリティ/プライバシー関連ルール、WHOとITU(国際電気通信連合)が2012年に共同で策定した「国家eヘルス戦略ツールキット」(関連情報)をベースに国際標準化されたICT技術を感染症対策向けに横展開することは可能である。ステークホルダーとして、各国・地域の住民や公衆衛生機関、保健医療サービスプロバイダーなどが含まれる点も、感染症と共通であり、今後、社会インフラが整備されていない環境におけるマルチステークホルダー・コミュニケーション基盤技術なども注目される。

 本連載第55回で触れた中国は、「BATH(Baidu、Alibaba、Tencent、Huawei)」に代表される主要デジタルプラットフォーマーが関わった医療関連事例や、COVID-19専門病院を支える5G基盤導入の経験/ノウハウをパッケージ化して、新興国市場への輸出に向けた準備を着々と進めている。今後、中国ならではのコンタクトトレーシング技術のグローバル展開も注目される。

筆者プロフィール

笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)

宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所、グロバルヘルスイニシャチブ(GHI)等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。

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