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「ファン」を用いた製品設計にCFDを役立てるには初心者のための流体解析入門(12)(3/3 ページ)

流体解析をテーマに、入門者や初学者でも分かりやすくをモットーに、その基礎を詳しく解説する連載。今回は、実際のコンポーネントの設計にCFD(流体解析)を活用することを主眼に置き、「ファン」を用いた製品設計について考える。

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ファンモデルとPQ特性

 実際に、ファンを製品に組み込んで使用する場合、わざわざファンを設計するのではなくて、市販されている量産品などを購入して、自分の開発している製品に組み込んで使うことが一般的だと思います。そうした際に参考となるのが、カタログに記載されているファンの「PQ特性」です。

 PQ特性とは、「風量・静圧特性」ともいわれ、その名の通り、風量と静圧の関係を示しています。当然ながら、ファンごとにこの特性の曲線は異なります。

 ファンの設計や開発などでは前述した通り、全圧を用いますが、ファンのユーザーの立場では、圧力計が測定できる値は静圧であることから静圧が用いられます。

 CFDでファンを使った解析を行う際、ファンそのものに着目する場合は別として、例えば小型ファンを電子機器の冷却などに用いるとき、実際にファンの形状モデルを回転させて解析することは、オススメできません。なぜなら、ファン近傍の流れや圧力の計算に多くの時間を取られてしまい、本来の電子機器の発熱部品の冷却の解析がなかなか進まない……といった本末転倒なことになりかねないからです。

 そのため、ファンモデルがCFDのプログラムに用意されていることが多く、そこで用いられるのがPQ特性です。PQ特性はファンメーカーのカタログなどで公開されているため、CFDでファンモデルを使う場合は、カタログに示された特性を使って解析を進めることができます。

図5 PQ特性の例
図5 PQ特性の例 [クリックで拡大]
図6 ファンが空気を外側(図の下方向)に空気を送り、後ろ側のヒートシンクの熱を放出することを目的にしている
図6 ファンが空気を外側(図の下方向)に空気を送り、後ろ側のヒートシンクの熱を放出することを目的にしている [クリックで拡大]

 今回はここまでということで、また次回お会いしましょう! (次回に続く

Profile

水野 操(みずの みさお)

1967年生まれ。mfabrica合同会社 社長。ニコラデザイン・アンド・テクノロジー代表取締役。3D-GAN理事。外資系大手PLMベンダーやコンサルティングファームにて3次元CADやCAE、エンタープライズPDMの導入に携わった他、プロダクトマーケティングやビジネスデベロップメントに従事。2004年11月にニコラデザイン・アンド・テクノロジーを起業し、オリジナルブランドの製品を展開。2016年に新たにmfabrica合同会社を設立し、3D CADやCAE、3Dプリンタ関連事業、製品開発、新規事業支援のサービスを積極的に推進している。著書に著書に『絵ときでわかる3次元CADの本』(日刊工業新聞社刊)などがある。



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