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工程管理とは何か、基本に立ち返って説明する工程管理は、あらゆる現場問題を解決する(1)(3/3 ページ)

工場における生産管理の根幹となる「工程管理」について解説する本連載。第1回は、工程管理にどのような意義があるのかをはじめ、基本に立ち返って説明する。

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3.2 生産形態と工程管理方式との関連

 工程管理を行う場合の管理方式や定義は、工程管理の本質ではありません。日常の問題・課題解決のために、現象を正しく把握し、分析し、改善案を立案します。その改善案をいわゆる管理サイクル(PDCA:Plan→Do→Check→Action)にのっとって、現状の工程管理方式をより良い管理システムとして再構築していくために、方式の定義などに基づいて現状のやり方を分析して整理しておくことが重要です。

 工程管理の方式は、製作手配の仕方と事務処理上から、それぞれ幾つかに分類できます。事務処理上の分け方は、表1に示す通りですが、工程管理方式と生産形態との関係は、実際には1つの生産形態に対して幾つかの管理方式が採用されています。

工程管理方式 概要 生産形態との関連
継続管理方式 数カ月以上の長期にわたって、同一製品を流す場合には、日程計画によって、材料を投入すれば連続的に部品・製品が製作される。工程管理は、投入と完成だけを掌握すればよい 少品種多量生産(量産)で、しかも連続生産に対して行われる管理方式。コンベヤーシステムと最も関連が深い
常備管理方式 現場常備品として部品は別に製作しておき、必要数だけを使用し、補充は決められた数量だけを行う。製品の生産計画と部品の生産計画とは直接には関連はない 共通部品が多い、少品種多量生産(量産)や中量生産に対して、主として採用される管理方式。仕様が変わらないとき、多量生産にも適用できる
仕込み管理方式 共通部品をあらかじめ仕込み生産し、必要な機種に引き当てながら、生産をスムーズに行うやり方。製品の生産計画は、共通品の生産計画に分解され引き当てによって取りまとめられる 中量産で、仕様が変更されることが少ない、注文の場合に行われる(顧客に仕様を選ばせて受注する場合)
製番管理方式 機種ごと、または製作単位ごと(注文単位)に製番(製造番号)または受注番号を付け、この番号を基準に全ての管理を行う 多品種少量生産に適する。従って、個別生産、注文生産(受注生産)の場合に適している
表1 工程管理方式

3.3 工程管理方式と材料・部品の調達方法

 工場で受注に応じ(または需要予測に基づき)製品を生産しようとして、製作指示を行って管理する方法を大別すると、多用される基礎的方法に次の2つがあります。

(1)製番(製造番号)管理方式

 一言でいえば、同じ製造番号(または受注番号)で管理していく方法です。各製品の生産単位または個別の受注に対して製番(製造番号)を取り、個々の部品の製作手配から最終組み立て、発送に至るまで、さらに原価計算まで一切をこの製番で管理していきます。また、材料や部品の調達もその大部分が受注の都度、採番された同じ製番で調達します。この方式では、製番が異なれば同一図番の部品でも別々に手配および管理されるので、管理の煩雑さや同類の帳票類が多く発行されるなど欠点も多くありますが、部品の必要数量と製作手配数量の一致、各オーダーの原価の明細をよく把握できるなどの長所があります。少量で間けつ的な生産や受注生産の管理に多く用いられる方式ですが、近年、工程内仕掛かり量が最少に保たれることから適用頻度が高くなっています。

(2)仕込み管理方式

 こちらの方式は、製造ロット番号単位で管理する方式です。期や月などの単位で示された生産計画によって製品ごとの必要部品を時系列的に展開し、通常は1カ月分まとめることが多いですが、単位期間における同一図番の部品は集約して、部品種ごとの製造ロット番号を付与して一括して量産的に製作しようとするものです。この方法により製作された部品は、仕込み品と呼ばれる在庫品になります。その後、受注品単位のまとめ製番を起こし、これらの在庫品を主に使用(引き当て)して製品を完成させる方式を「仕込み管理方式」といいます。

 在庫の形態は、単体品や部品などの製品組み立てに便利な状態にしておく場合や、部分組み立てを行う直前の部品の状態で在庫される場合もあります。この方式では、量産効果によって原価水準を押し下げられるとともに、部品単位の原価計算が行われるので製品原価を明確に把握できるというメリットがあります。また、保守・サービス用にパーツを出庫することも自由なので、製番での製作のように受注してから製作手配を行ったり、注文が別口の際に別々の製番で製作したりするようなロスを排除することができます。

 以下の図2には、以上2つの管理方式と材料・部品の調達の関係を示しています。ここでいう「引き当て」とは、あらかじめ製造が終了して在庫となっている製品・部品の使用を予定することを指しています。

図2
図2 工程管理方式と材料・部品の調達の関係(クリックで拡大)

◇     ◇     ◇     ◇

 工程管理は、まず生産日程を決める、日にちごとに部署ごとの負荷工数を算出して人員配置や残業計画・休日出勤計画を決める、生産の進捗をはじめとする実績を把握する、などの目的に活用されます。これらの項目は、工程管理がもたらす最低限の内容です。

 これを実行するために、作業の標準化と標準時間の設定を行わなければなりません。つまり、工程管理が軽視されている職場は、作業の標準化も標準時間の設定もおろそかに扱われている実態があります。早期に、管理された職場を取り戻していくためには、シッカリした工程管理の構築が必要不可欠です。

 そのことを、今回から始まる連載「工程管理は、あらゆる現場問題を解決する」を通して理解していってほしいと思っています。

筆者紹介

MIC綜合事務所 所長
福田 祐二(ふくた ゆうじ)

日立製作所にて、高効率生産ラインの構築やJIT生産システム構築、新製品立ち上げに従事。退職後、MIC綜合事務所を設立。部品加工、装置組み立て、金属材料メーカーなどの経営管理、生産革新、人材育成、JIT生産システムなどのコンサルティング、管理者研修講師、技術者研修講師などで活躍中。日本生産管理学会員。



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