3Dプリント人工呼吸器の製図データを無償提供するプロジェクトが始動:医療機器ニュース
国立病院機構新潟病院と広島大学の医師を中心とする「COVIDVENTILATOR PROJECT」が始動した。3Dプリンタで容易に作製可能な人工呼吸器の製図データを、全世界に無償提供することを目指す。
国立病院機構新潟病院は2020年3月27日、3Dプリンタで作製可能な人工呼吸器の製図データを全世界に無償提供するプロジェクト「COVIDVENTILATOR PROJECT」が始動したと発表した。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、重症患者の治療に用いる人工呼吸器の不足が深刻化している。COVIDVENTILATOR PROJECTは、国立病院機構新潟病院臨床研究部 医療機器イノベーション研究室長の石北直之氏と広島大学トランスレーショナルリサーチセンター 准教授の木阪智彦氏らが中心となって立ち上げたプロジェクト。石北氏が開発した人工呼吸器を迅速に実用化し、世界規模で救命活動を支援することを目的とする。
石北氏が開発した人工呼吸器は、宇宙ステーション内の無重力環境下で動作試験に成功した実績を持つなど、どのような状況でも動力なしで安定動作する。また、原料となるABS樹脂があれば、3Dプリンタで容易に作製できる。しかし、現時点ではまだ、日本を含めて医療機器認証を得ていない。
当面は、3Dプリント人工呼吸器の医療機器としての認証手続きや、同呼吸器を必要とする国や地域での診療に関する許認可、製品の品質管理を進めつつ、医学的妥当性の検討やフィードバックなどの研究支援に取り組む。クラウドファンディングでの資金提供の呼びかけや、人的支援の募集も開始する。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
関連記事
- 新型コロナ対策で富士フイルムが「アビガン」増産、政府の200万人分備蓄要請受け
富士フイルムは2020年4月15日、子会社である富士フイルム富山化学において新型コロナウイルス感染症に効果が期待される抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」を増産すると発表した。 - アディダスが3Dプリンタでフェイスシールドの製造支援、新型コロナ対策で
アディダスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の対策支援の一環として、3DプリンタメーカーのCarbonと協力し、3Dプリント技術を活用した医療用フェイスシールドの製造を開始したことを発表した。 - マスク用イヤーガードとフェイスシールド用パーツの3Dプリンタデータを公開
Apple Treeは、3Dプリンタで印刷できるマスク用イヤーガードとフェイスシールド用パーツのデータを無償公開した。長時間のマスク着用による耳の痛み軽減に活用できるなど、新型コロナウイルス対策を支援する。 - ホンダが新型コロナ軽症者の搬送車両を開発、陰圧状態の後部座席で飛沫感染防ぐ
ホンダは2020年4月14日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止に向けた支援活動を発表した。 - ビーコンで新型コロナ感染者との濃厚接触を追跡、アップルとグーグルが共同開発
アップルとグーグルは、スマートフォンに搭載されているBluetoothを用いて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者との濃厚接触を検出・追跡できる技術を共同開発する。 - 東レが国内向けマスク用不織布を増産、5000万枚分を増やし月8000万枚体制へ
東レは2020年4月13日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、国内向けにマスク用不織布の供給体制を強化すると発表した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.