PC事業で培った高度な設計・製造技術を活用、VAIOがドローン開発の子会社設立:ドローン
VAIOは産業用ドローンの機体開発などを手掛ける子会社VFRを設立した。PC事業で培ったコンピュータ機器の設計・製造技術を活用して産業用ドローン開発などを行う。
VAIOは2020年4月9日、産業用ドローンの機体開発などを手掛ける子会社VFRを設立したことを発表した。VAIOは2018年から、設計や製造を請け負うEMS(Electronics Manufacturing Servic)事業の中でドローンを手掛けてきたが、今後、産業用ドローン事業を本格化するためにVFRを設立したという。
VFRは2020年3月の設立で、同年4月9日から営業を開始した。本社は、VAIO東京オフィスが入居する東京都品川区のオフィスビルに置く。代表取締役社長には、VAIOでCINO(最高イノベーション責任者)を務める留目真伸氏が就任した。
VFRはドローンのエンドユーザーとドローン事業者向けに、産業用途別に性能と機能を最適化した、可用性とコストパフォーマンスの高いドローン機体やドローンのコンポーネント、関連ソリューションを提供する。
これらの技術は、高度なコンピューティング技術やロボティクス技術が求められるドローン開発でも同様に役立つとして、ドローン事業に携わってきた。これまでの実績としては、ナイルワークスの農業用大型ドローンの量産や、エアロネクストの重心制御技術「4D GRAVITY」の技術開発支援などがあり、2019年11月からは中国のドローンメーカーMMCと日本国内の産業ドローン市場の創造に向けた事業検討を実施するなどしている。
VAIOのこれまでのドローン事業は、EMS事業の1つという位置付けであり、エンドユーザーに向けたものではなかった。今回のVFRの設立によって、ドローン市場に本格的に参入することになる。また「VAIOが作り上げてきたコンピューティングの世界を、地上だけでなく空(および海やその他有人では到達できない場所)にも拡大する」(リリース文より抜粋)としており、ドローンとして一般的な飛行タイプにとどまらない事業展開も想定しているようだ。
VAIOは、VFRについて「社会インフラの運用コスト低減や新たな社会インフラの実現、災害対応の迅速化といった取り組みを通じて、レジリエンスの高い、豊かな社会を実現していくために産業用ドローンの市場拡大をリードするプレーヤーの一角へと成長することを目指す」とコメントしている。
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