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第3の矢を放つVAIO、新事業の勝算はVRだけではないモノづくり最前線レポート(1/2 ページ)

VAIOは都内で経営方針発表会を開催し、2017年6月に就任した新社長吉田秀俊氏が今後の方針を説明した。従来のPC、EMSに加え、3本目の柱としてVRソリューション事業を立ち上げる他、PCの中国展開を復活させることを発表した。

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 VAIOは2017年8月1日、都内で経営方針発表会を開催。ソニーから独立して3年間の成果をあらためてアピールした他、新たにVR(仮想現実)ソリューション事業に参入することを発表した。

VAIO復活はフェーズ1からフェーズ2へ

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VAIO 代表取締役社長 吉田秀俊氏

 VAIOは2014年7月にソニーから独立し、独自の事業展開を推進※)。主力の「VAIO」ブランドのPC事業に加え、2015年からはEMS(電子機器受託生産サービス)事業の展開を開始。2つの事業を中心に、収益改善が進み、2014〜2016年度の3期連続の純損益で黒字を達成した他、2015〜2016年度の2期は営業損益も黒字化に成功した。

※)関連記事:最後発のPCベンチャー「VAIO」が選んだ“切り込み隊長”として生きる道

 2017年に6月に新たな代表取締役社長に就任した吉田秀俊氏は「2014年度に比べると2016年度は売上高は2倍以上に成長。さらに営業利益は前年度比3.2倍に拡大できた。2015年度に立ち上げたEMS事業も2016年度はわずかだが営業黒字化を実現することができ、企業体を維持するための取り組みを進めるフェーズ1は終わった。これからは成長を見据えたフェーズ2に入ることになる」と方向性を述べる。

 具体的には、過去3年間の実績として「VAIOの作るPCの再定義」「製販一体企業として法人向け体制を整備」「EMS事業の立ち上げ」の3つの成果を強調する。このうち法人向けPCの拡大に対しては、営業体制や保守・メンテナンス体制、カスタマイズ体制などを整備し、法人向けで求められる機能を強化し、評価を徐々に高めることに成功したとしている。吉田氏は「法人営業の売上高は2014年度に対して2倍となったが、さらに2倍に成長できるくらいの余力がある」と自信を見せている。

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フラグシップモデルの「VAIO Zシリーズ」(クリックで拡大)

 一方、EMS事業については、富士ソフトのコミュニケーションロボット「Palmi」やMoffのウェアラブルおもちゃ「Moff Band」、博報堂のおしゃべりスピーカー「Pechat」、トヨタ自動車のコミュニケーションロボット「KIROBO mini」、AKAの英語学習AIロボット「Musio」、講談社の「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」、テラダ・ミュージック・スコアの電子ペーパー楽譜端末「GVIDO」など、既に数多くの顧客を獲得し、数多くの製品の設計や製造を行っている。通常EMSへの委託企業は、委託先のEMS企業を公開しないケースがほとんどだが「VAIOの場合は、単純な委託先としてだけでなくパートナーとして公開してもらえる場合が多い。安曇野の技術、信頼性を支持してもらっており、新たなビジネス展開も考えられる」と吉田氏は手応えについて述べている※)

※)関連記事:独立2周年のVAIOが黒字化、製造業としての「第三の矢」急ぐ

photophotophoto VAIOが設計や製造にかかわった英語学習AIロボット「Musio」(左)「週刊 鉄腕アトムを作ろう!」(中央)コミュニケーションロボット「KIROBO mini」(右)(クリックで拡大)
photophotophoto おしゃべりスピーカー「Pechat」(左)と電子ペーパー楽譜端末「GVIDO」(中央)、ウェアラブルおもちゃ「Moff Band」(右)(クリックで拡大)

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