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PCだけでなく「アイデア具現化企業」になるVAIO、フェーズは“筋トレ”に製造マネジメント インタビュー(1/3 ページ)

2014年7月にソニーから独立したPCメーカーの「VAIO」。4期目を迎える同社は「フェーズチェンジ」を掲げて、新たに3本目の柱として「ソリューション事業」を打ち出している。2017年6月に新たに就任したVAIO 代表取締役社長 吉田秀俊氏に話を聞いた。

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 2014年7月にソニーから独立しPCメーカーとしての歩みを開始した「VAIO」。当初は営業赤字の状況だったが、2014〜2016年度の3期連続の純損益で黒字を達成した他、2015〜2016年度の2期は営業損益も黒字化に成功したという。ようやく独立企業体として安定しつつある同社は「今後の成長を見据えたフェーズ2に入る」としている。2017年6月に新たに就任したVAIO 代表取締役社長 吉田秀俊氏にVAIOの現状と今後の方向性について話を聞いた。

独立企業としてのスタートライン

MONOist 2017年6月に社長に就任され、今までのVAIOの状況についてどのように見ていますか。

吉田氏 ソニーからカーブアウトで独立してから3年が経過したが、この3年間というのは独立による制約を各部門が強く受けてきた期間だった。当然何をやるにしても投資規模が変わるし、設備や人員などのリソースの問題も大きい。さまざまな苦労があった。ただ、初年度となる2014年度の大きな営業赤字の状況から、2年目、3年目と重ねる中で着実に業績を回復させ、2015〜2016年度の2期は営業損益も黒字化に成功している。ようやく健全な独立企業体としてスタートラインに立ったところだと考えている。

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VAIO 代表取締役社長 吉田秀俊氏。1980年に日本ビクター(現JVCケンウッド)入社。日本ビクター代表取締役社長やJVC・ケンウッド・ホールディングス(現JVCケンウッド)取締役、オプトレックス取締役副社長執行役員、エルナー代表取締役社長執行役員などを経て2017年6月にVAIO社長に就任。

法人向けPC事業とEMS事業で企業基盤が安定化

MONOist ここまでPC事業においては法人向けが成長し、新たに立ち上げたEMS(電子機器受託生産サービス)事業も軌道に乗ったことで流れに乗りました。

吉田氏 就任してから社員を見ていても「さすがだな」と思わされることがたくさんある。VAIOはもともと長野県安曇野市のソニーのPC拠点が独立する形で生まれたが、その社員たちは自分でさまざまな課題に取り組み、問題解決を進めていくことができる人材が多く、さらにモノづくりを高いレベルで理解している。こうした人材は1つの資産だと考えている。

 こうした中で資産を生かしたかじ取りが重要になるわけだが、PC事業は国内の法人向けを中心と位置付ける取り組みで成果が出ている。国内のPC市場は全体的には伸び悩んでいるが、減少傾向が強いのは民生(B2C)市場だ。法人向け(B2B)市場はそれほど減少していない。さらにVAIOは法人向けに従来はそれほど積極的に取り組んでいなかったことから、伸びる余地は大きい。新たに中国市場に再参入する発表などもしたが、PC事業であくまでも軸としているのは国内の法人向け事業である。ここだけで今後数年間はある程度成長ができると見ている。

 法人向け市場が順調に立ち上がったのも、モノづくり面で最初から最後までを熟知している人材がいたからこそだ。耐久試験などを通じた耐久性強化やカスタマイズに対応する体制など、もともとの地盤があったからこそ法人向けへと体制の移行がスムーズにできた。

 同様にEMS事業についても順調に成長を続けている。現在は案件の3分の2が民生用ロボットとなっているが、これも安曇野で以前、ソニーの犬型ロボット「AIBO」などロボット製品を開発・製造していたことが大きな強みとなっている。このリソースを生かし、うまく製品レベルの開発や製造を支援することでさまざまな受注を獲得できている。

 ロボットは試作レベルであれば、高校生でも作ることができるレベルになってきている。しかし、量産化レベルでの開発は品質確保などにおいて一定レベルのノウハウが必要で、誰でもが作れるものではない。こうしたノウハウを持たない企業などが数多く生まれていることが追い風になっている。

MONOist 政府の「ロボット新戦略」などロボットの産業実装を強化しようという動きが追い風になっているということでしょうか。

吉田氏 ロボットの活用という意味では、産業用では数多くの用途で利用が実際に広がっている。しかし、VAIOが得意な技術は民生用であり、コミュニケーションロボットなどの市場である。この市場はまだまだ立ち上がってはいない。しかし、これから立ち上がり、今後は確実に広がる市場である。こうした領域でVAIOの持つ、小型・高密度の技術力が生きる。トヨタ自動車の「KIROBO mini」など数多くのパートナーに既に利用してもらっているが、コミュニケーションやペット、見守りなどの領域でさらに大きく成長すると見ている。

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