衛星画像やドラレコで一般道の高精度地図を生成、TRI-ADが国内外で実証:自動運転技術
トヨタリサーチインスティテュート アドバンストデベロップメント(TRI-AD)は2020年3月10日、専用の計測車両を使用しない一般道の高精度地図の生成に成功したと発表した。また、地図データ会社と連携した一般道の高精度地図の生成や更新も実現した。いずれも他社と実施した実証実験による成果で、今後もパートナー企業との連携を強化していく。
トヨタリサーチインスティテュート アドバンストデベロップメント(TRI-AD)は2020年3月10日、専用の計測車両を使用しない一般道の高精度地図の生成に成功したと発表した。また、地図データ会社と連携した一般道の高精度地図の生成や更新も実現した。いずれも他社と実施した実証実験による成果で、今後もパートナー企業との連携を強化していく。
一般道の高精度地図の生成では、衛星画像やドライブレコーダーのデータを活用した。衛星画像を用いた高精度地図の実証実験は、宇宙技術を手掛けるマクサーテクノロジーズやNTTデータと協力して行った。衛星画像に写る自動車や影、建物の倒れ込みによる遮閉など地図以外の要素を自動で解析、除去、補正することで、必要な地図情報を抽出する。これにより、自動運転車の制御に使用できる相対精度25cmの高精度地図を生成することができた。実証は東京23区と海外6都市で実施した。
ドライブレコーダーを使った実証実験は、CARMERAと協力して東京23区と米国の2都市で行い、ドライブレコーダーの画像データのみで相対精度40cmを達成した。CARMERAのマシンラーニング技術などを使用して自動運転に必要な最新情報を判別し、HDマッピングシステムにデータを送信して地図を更新するという作業が数分間で実行できるという。
TomTomとの実証実験では、TRI-ADが集めた「自動地図生成プラットフォーム(AMP)」の車両データの形式を、TomTomのクラウドベースの地図生成プラットフォーム向けに変換。自動運転に必要な車線の情報を含めた一般道の高精度地図の生成と更新に成功した。HEREとの実証実験でも一般道の高精度地図を生成したが、こちらはTRI-ADの車両データの誤差をHEREの高度セルフヒーリング技術で補正する取り組みだ。車両データをHEREのプラットフォームに入力することで、HERE独自のアルゴリズムによって高精度地図を自動生成する。
高精度地図は国内外で作製が進められているが、専用の計測車両を用いるコストなどから高速道路に限られている。自動運転技術を一般道にも広げていく上で、高精度地図の整備とメンテナンスが課題になっていた。
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