スミソニアンがミマキのフルカラー3Dプリンタを採用、ウイルスの模型製作で:3Dプリンタニュース
ミマキエンジニアリングは、同社製フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」がスミソニアン研究所のSmithsonian Exhibitsのスタジオに設置されたことを発表した。
ミマキエンジニアリングは2020年3月3日、同社グループ企業のMIMAKI USA(米国ジョージア州アトランタ)の発表を受け、同社製フルカラー3Dプリンタ「3DUJ-553」がスミソニアン研究所のSmithsonian Exhibits(以下、SIE)のスタジオ(米国メリーランド州ランドーバー)に設置されたことを明かした。
スミソニアン研究所は、19の博物館/美術館、9つの研究機関、スミソニアン国立動物園を有する、世界最大の博物館/教育・研究複合施設として知られる。SIEはスミソニアン研究所の一部として機能し、スミソニアン研究所および米国連邦政府の博物館や事務所などと協力して、これら機関が手掛ける展示の企画、制作、開発、設計を支援し、公的プログラムや研究目的の模型製作をサポートする。
今回、SIEのチームではフルカラー3Dプリンタである3DUJ-553を用い、ウイルスの構造などを細部まで再現した模型を製作する“初”のプロジェクトを始動。この模型は、現在スミソニアン国立自然史博物館で開催されている「アウトブレイク:つながる世界の伝染病展(Outbreak: Epidemics in a Connected World)」で展示されている。
さらに、SIEでは今後、公共の体験型教育活動に使用するさまざまなオブジェクトや、順路案内を補助する点字マップなどの触って分かるディスプレイ要素の製作を、フルカラー3Dプリンタ(3DUJ-553)で実現するプロジェクトを検討しているという。
SIEでの採用を受け、MIMAKI USA 3D Printing&Engineering Projects シニアマネジャーのJosh Hope氏は「この3Dプリンタ(3DUJ-553)によって、スミソニアンは新しい技術を利用した、新しいやり方で展示物を製作できるようになる。特に模型や立体的に見える要素では、全ての来訪者を楽しませる展示物の製作に貢献できる」とコメントを寄せる。
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