働く外国人の意識調査、外国人上司と比べて日本人上司への不満は約2倍:キャリアニュース
パーソル総合研究所が「日本で働く外国人材の就業実態、意識調査」の結果を発表した。「日本人上司と外国人上司のマネジメント」を比較したところ、日本人上司への不満は外国人上司に対する不満の約2倍となった。
パーソル総合研究所は2020年2月26日、「日本で働く外国人材の就業実態、意識調査」の結果を発表した。
同調査の対象は、日本で働く18〜59歳の外国籍の人で、正社員が500、パートとアルバイトが500の、合計1000サンプルを得た。
まず、正社員の人に、職場に対する不満を尋ねたところ、1位は「昇進、昇格が遅い」(28.6%)だった。2位は「給料が上がらない」(28.2%)、3位は「給料が安い」(25.6%)となっている。
次に、外国人が感じている不満の項目数と企業の認識のギャップを調べた。「企業が認識している外国人材の不満個数」が平均1.4個であるのに対し、「外国人材が感じている不満個数」は平均3.7個だった。正社員だけで見ると、「企業が認識している外国人材の不満個数」平均1.4個に対し、「外国人材が感じている不満個数」は平均4.7個と、企業の認識の3.4倍多くなっていた。
職場に対する不満で最も多かった項目「昇進、昇格が遅い」を見ると、「企業」が認識している割合は3.5%、「外国人」は20.2%だった。また、「給料が上がらない」と感じている割合は、「企業」が4.1%、「外国人」は21.8%と、どちらも企業と外国人とで5倍以上のギャップがあった。
続いて、「入社前に想定していたイメージよりも悪かったこと」を尋ねたところ、「住宅や生活全般に関するサポート体制」(18.5%)が最も多かった。2位は「昇進、昇格のスピード」(16.8%)、3位は「言語に関するサポート体制」(12.8%)となっている。
「外国人の孤独感」を調べた結果では、正社員の32.6%が「(自分が)孤立しているように思う」と回答。パート、アルバイトは11.6%となっており、正社員の外国人は孤独感を抱えがちと言えそうだ。孤独感を低減させるために会社が正社員の外国人材に実施した施策のうち、効果が確認できたものとして、「歓迎会の開催」(実施率47.6%)、「同僚とのコミュニケーション機会の付与」(同28.4%)、「定期的な面談」(同26.4%)、「母国語対応の指導者の配置」(同18.4%)、「相談窓口の設置」(同12.8%)が挙がった。
日本人上司への不満は外国人上司の約2倍
「日本人上司と外国人上司のマネジメント」を比較すると、「上司は、新しいやり方の導入などの変化を嫌がる傾向がある」という項目について、日本人上司に当てはまると回答したのは30.8%だったが、外国人上司に対しては15.1%だった。
「仕事の範囲を明確に指示してくれない」は、日本人上司が25.8%、外国人上司11.8%。「私のアイディアや意見を受け入れてくれない」は日本人上司が25.8%、外国人上司は14.3%など、外国人上司に比べて日本人上司への不満は約2倍となっている。
「日本人上司のマネジメントに対する評価」を最終学歴別(大学、修士以上)に見ると、「長時間働く人を高く評価している」と考える割合が、大学は27.3%、修士以上は48.2%だった。「新しいやり方の導入などの変化を嫌がる傾向がある」は、大学が19.8%、修士以上が47.5%となっており、日本人上司のマネジメントに対して、修士以上の外国人からの評価が特に厳しいことが分かった。
正社員が仕事選びで重視する項目を見ると、外国人と日本人では重視する項目が異なっていた。1位はどちらも「希望する収入が得られること」(外国人27.8%、日本人30.4%)だが、外国人の2位である「仕事とプライベートのバランスがとれること」(23.8%)は、日本人では6位(20.9%)と差が開いている。外国人で3位の「自分のやりたい仕事であること」(17.8%)は、日本人は6位(20.9%)。外国人の4位「いろいろな知識やスキルが得られること」(16.0%)は、日本人では12位(8.2%)だった。
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