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“ガチ”SOLIDWORKSユーザーが「3DEXPERIENCE World 2020」で感じたこと3DEXPERIENCE World 2020(3/3 ページ)

SOLIDWORKSユーザーの1人として、米国テネシー州ナッシュビルで開催された「3DEXPERIENCE World 2020」に参加した筆者。長年、このイベントを見てきた立場から、今回の変化(Change)に注目し、実際に見て、感じたことを紹介したい。

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どう“Change”すべきか、問われる対応力

 少し冷静になって、あらためて今回の3DEXPERIENCE World 2020を振り返り、「3DEXPERIENCE WORKS戦略をどのように捉えるべきか」を筆者なりに考えてみた。

 北米のSOLIDWORKSユーザー企業は、日本のように大規模にライセンスを持つ企業は少なく、どちらかといえば少数ライセンスの企業が多い。ゼネラルセッションで事例を発表していた北米や欧州のユーザーもその傾向が強く、スタートアップ企業やプロジェクト単位でSOIDWORKSを使用するユーザーの場合、短期間で、柔軟にライセンス運用できる方がメリットは大きいといえる。つまり、クラウドベースで、ライセンスもサブスクリプションモデルで提供されるプラットフォーム製品群の方が初期投資を抑えられ、導入しやすいというわけだ。

 日本でもコワーキングスペースなどを活用したスタートアップ企業が増えつつあり、働く場所や時間、従来の組織体などにとらわれない働き方が目立ってきている。また、新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークという働き方に関心を示す企業も増加している。こういう時代の流れにおいて、当たり前のように出勤し、当たり前のように同じフロアで設計開発業務を行うことは、絶対的に正しいものとは言い切れなくなっている。

 設計作業はもちろん、開発スケジュールの管理、調達や支払い、あらゆる業務がデジタル化されて、クラウド上のプラットフォームで連携するという世界は、むしろ将来の当たり前になっていくのではないだろうか。もちろん実際の生産活動は「現場」でなければできないが、デジタルツインの概念やIoT(モノのインターネット)が現場とデジタルをつなぎ、稼働状況や進捗をリアルタイムで、ダッシュボード上から確認できるようになっていく。

 こういう話をしていくと、「モノづくりをなめているのか」といった批判の声や「そうはいっても、うちには無理だ」といった諦めの声が聞こえてくる。筆者自身も「ITを使えば何でもうまく作れる」「黙っていても生産性が上がる」などとは思っていない。だが、モノづくりの視点をプロダクトそのものに向ける(そこだけを見続ける)のではなく、プラットフォームに(も)向けることで、可能性の扉が開けるのではないかとは思っている。

 具体的な施策や戦略は異なっても、SOLIDWORKSを含めたCAD業界全体が、こうした方向に向かおうとしているのも事実だ。だが正直なところ、デスクトップ版SOLIDWORKSユーザーにとって、今回の3DEXPERIENCE WORKS/3DEXPERIENCEプラットフォームがどの程度の価値をもたらしてくれるのか、見えていない部分やクラウド活用のハードルに代表される技術課題などもある。

3DEXPERIENCE WORKS(撮影筆者)
3DEXPERIENCE WORKS(撮影筆者)

 しかし、プロダクト思考からプラットフォーム思考へのシフトを後押しする具体的な方向性は今回の3DEXPERIENCE World 2020で示された。これこそが今回の“Change”であり、そこにどう向き合っていくか、自分たちがどう“Change”できるかを真剣に考えていく必要があるのだと思う。ユーザーも代理店も、そしてCADベンダーも“Legacy”にとらわれ過ぎていては、未来はない。求められているのは“対応力”である。

次回「3DEXPERIENCE World 2021」もナッシュビルで開催
次回「3DEXPERIENCE World 2021」もナッシュビルで開催(撮影筆者)

 さて、次回の「3DEXPERIENCE World 2021」ではどんな“Change”が示されるのだろうか。それまでに筆者自身、何ができているのだろうか。

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。



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