“ガチ”SOLIDWORKSユーザーが「3DEXPERIENCE World 2020」で感じたこと:3DEXPERIENCE World 2020(2/3 ページ)
SOLIDWORKSユーザーの1人として、米国テネシー州ナッシュビルで開催された「3DEXPERIENCE World 2020」に参加した筆者。長年、このイベントを見てきた立場から、今回の変化(Change)に注目し、実際に見て、感じたことを紹介したい。
プラットフォーム戦略重視で、デスクトップは軽視?
では、今回の3DEXPERIENCE World 2020における“Change”はどこにあったのか?
今回あらためて示された「3DEXPERIENCE WORKS」というポートフォリオの中身については、MONOist編集部の八木沢記者のレポート記事をご覧いただきたいが、前回がプラットフォーム戦略の方向性(コンセプト)を提示していたのに対して、今回はより具体的な内容が示された。
当然、話題の中心は3DEXPERIENCE WORKSに集中したわけだが、驚いたのは(筆者が見た限りでは)、デスクトップ版SOLIDWORKSの画面をゼネラルセッションの中で見掛けることがほとんどなかったということだ。
それを象徴していた出来事の1つが、SOLIDWORKSの次期バージョンに搭載されるであろう新機能を、寸劇を交えて紹介する名物コーナー「Sneak Review(スニーク・レビュー)」がゼネラルセッションで廃止されていたことだ。
毎回、SOLIDWORKS社員の本気の演技による芝居仕立ての新機能紹介を楽しみにしていた筆者の脳裏に、
- プラットフォーム戦略重視で、デスクトップは軽視されてしまったのか?
- もしかしすると、デスクトップ版は消えてしまうのか?
という思いがよぎった。
実は後で分かったことだが、The SOLIDWORKS Blogによると「Technology Preview:SOLIDWORKS 2021」は、オンデマンドのライブ配信(SOLIDWORKS LIVE)で行われたそうだ。残念ながら筆者は見逃してしまった……。また、この記事を執筆中に見つけたのだが、ブレークアウトセッション「SOLIDWORKS Top Ten Enhancement List」の中でも新機能の一部が紹介されていたようだ。
SOLIDWORKSユーザーの思いは届くのか?
もう1つ、デスクトップ版SOLIDWORKSユーザーにとって残念だったのが、ユーザーの機能強化要望ランキング「SOLIDWORKS Top Ten Enhancement List」が、前回同様にゼネラルセッションから消えていたことだ。このランキングは、ワールドワイドのプログラムとして事前に展開され、要望の受付/要望に対する投票が行われる。当然、日本のユーザーも参加しているものである。
以前は、ゼネラルセッションの場で発表され、大いに盛り上がっていたのだが、今回も残念ながらゼネラルセッションから姿を消し、最終日、最後の時間帯のブレークアウトセッションで紹介された(筆者も参加してきた)。
実は、このSOLIDWORKS Top Ten Enhancement Listのブレークアウトセッションで一波乱あった。一通りの講演が終了し、質疑応答に入ったところで、SOLIDWORKSのブランドCEOであるジャン・パオロ・バッシ氏が登場したのだ。
このセッションは、Product Development部門、Product Definition部門により、その発表と解説が行われ、ユーザー、販売代理店を問わず、熱心な技術者が参加している。セッションルームは満席で、立ち見が出るほどの盛況ぶり。そんな中、1人の参加者が、TOP10リストや次期バージョンのプレビューといったSOLIDWORKSそのものに関するアップデート情報が、プラットフォーム戦略の話に比べて扱いが少ないことを、ジャン・パオロ・バッシ氏に抗議したのだ。
筆者もその参加者に同感であった。これに対して、バッシ氏はSOLIDWORKSの重要性を説くものの、最終的には3DEXPERIENCE WORKS/3DEXPERIENCEプラットフォームについての説明に多くの時間を費やす結果となってしまったのである。この回答には筆者自身もモヤモヤが残り、気持ちが晴れることはなかった。おそらく、このセッションルームにいた多くのSOLIDWORKSユーザーが同じ気持ちだったのではないだろうか。最終日の最後のブレークアウトセッションは、3DEXPERIENCE World 2020を締めくくるには何とも後味の悪いものとなってしまった……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.