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3D CAD活用で欠かせない「アセンブリ」と「データ管理」について“脱2次元”できない現場で効果的に3D CADを活用する方法(8)(2/3 ページ)

“脱2次元”できない現場を対象に、どのようなシーンで3D CADが活用できるのか、3次元設計環境をうまく活用することでどのような現場革新が図れるのか、そのメリットや効果を解説し、3次元の設計環境とうまく付き合っていくためのヒントを提示します。今回は、「アセンブリ」の考え方と設計アプローチ、そして、3D CAD活用で重要となるデータ管理について紹介します。

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3D CADにおけるトップダウン設計とボトムアップ設計

 設計には「トップダウン設計」と「ボトムアップ設計」があります。

 トップダウン設計は、製品全体の機能やレイアウトを決めて、個々の部品を順次作成していく設計手法です。上(全体)から下(個々)へと設計を進めていく考え方で、例えば、家を設計する際に敷地面積や全体の形を先に決めてから、個々の部屋の位置や間取りを決めていくイメージです。

 一方、ボトムアップ設計は、先に個々の部品を作成し、それらを組み付けていく設計手法です。下(個々)から上(全体)へと設計を進めていく考え方で、家で例えると、個々の部屋の大きさや形を先に決めてから、家全体の大きさと形を決めるイメージです。

 一般的に機械設計では、トップダウン設計が使われます。ボトムアップ設計の場合、作成した個々の部品をアセンブリ(組み合わせ)してみたら、予想以上に大きなサイズになってしまったり、部品と部品とが組み付かなかったり、干渉してしまったりなどの不具合が起きやすいです。家で例えると、家族のおのおのが自分の部屋の間取りを作って、それらを組み合わせてみたところ、土地からはみ出してしまったり、不格好な形の家になってしまったりするイメージです。

図3 家の間取りを例にしたトップダウン設計とボトムアップ設計について
図3 家の間取りを例にしたトップダウン設計とボトムアップ設計について[クリックで拡大]

 ここまでの説明を読むと、ボトムアップ設計にはデメリットしかないように思われるかもしれませんが、ボトムアップ設計は、以前に設計した部品を新規設計に流用する場合や、ネジやナットなどの既存部品を使用する場合などに有効な手法です。そのため、実際の設計現場では、トップダウン設計とボトムアップ設計の両方を組み合わせた設計が行われています。

 3D CADを使った設計も同様です。トップダウン設計とボトムアップ設計の両方を組み合わせて設計をしていきます。3D CADでのボトムアップ設計は、最初に紹介したアセンブリ機能が一般的にどの3D CADソフトウェアにも搭載されていますが、トップダウン設計の方法は、各3D CADソフトウェアによって機能の違いがあり、やり方もさまざまです。

 全体をレイアウトしたスケッチファイルを基準に個々の部品を作成していく方法や、1つの部品ファイルの中に複数の形状を作成し、後から個々の部品ファイルに分ける方法、各部品間のリンク関係の持ち方の違いなど、トップダウン設計をするアセンブリ機能は3D CADを選定する際の1つのポイントになります。これから3D CADを導入される方は、きちんとした検証をオススメします。

 通常の基礎トレーニングでは、ボトムアップ設計の手法を行うことが多く、トップダウン設計の手法は応用や実践トレーニングで行われることが多いです。そのため、「3D CADではトップダウン設計ができない」という誤解をしている人も多くいますが、3D CADでも前回述べたように2次元設計は可能ですし、トップダウン設計だって可能なのです。

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