ニュース
グローバル供給に対応、需要が増加するリポソーム製剤工場を富山に新設:工場ニュース
富士フイルム富山化学が富山第二工場内に建設していた、リポソーム製剤工場「701工場」が完成した。薬の有効成分を効率的に患部に届けて薬効を高める高品質なリポソーム製剤を生産し、グローバルに供給する。
富士フイルム富山化学は2019年12月9日、商業生産に対応したリポソーム製剤工場「701工場」が完成したと発表した。稼働開始は2020年2月を予定する。
リポソーム製剤は、有機物のリン脂質などをカプセル状にした微粒子(リポソーム)の中に薬剤を内包したものだ。薬剤の有効成分を効率的に患部に届けて、薬効を高めることが期待されている。
約50億円を投じて富山第二工場内に建設された701工場は、地上2階建てで、延床面積は約3400m2。同社が注射剤の無菌製造で培ってきた生産ノウハウや、富士フイルムの生産技術を生かした製造設備、封じ込め設備が導入されている。
701工場は、高品質な医薬品や医療機器の製造、品質管理について定めた日米欧のGMP(Good Manufacturing Practice)基準に対応している。そのため、富士フイルムグループにおけるリポソーム製剤の中核生産拠点として、薬剤が安定的に内包された、均一なサイズの高品質リポソームを生産し、グローバルに供給できる。
同社は今後、701工場にて抗がん剤「FF-10832」「FF-10850」の他、核酸医薬品や遺伝子治療薬などの治験薬を製造し、商業生産を展開していく。また、他社からリ
ポソーム製剤の生産行程開発や製造を請負い、さらなる事業拡大を図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 海外展開でもうかる企業は一部だけ!? 日系企業が国内生産にこだわるべき理由
長年生産管理を追求してきた筆者が、海外展開における「工場立地」の基準について解説する本連載。4回目となる今回は、あらためて日本国内での生産の価値とその可能性について解説する。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。 - 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。 - 見えてきたスマート工場化の正解例、少しだけ(そもそも編)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについて、話題になったトピックなどに応じて解説します。第28回となる今回は、スマート工場化において見えてきた正解例について前提となる話を少しだけまとめてみます。 - スマートファクトリーはエッジリッチが鮮明化、カギは「意味あるデータ」
2017年はスマートファクトリー化への取り組みが大きく加速し、実導入レベルでの動きが大きく広がった1年となった。現実的な運用と成果を考えた際にあらためて注目されたのが「エッジリッチ」「エッジヘビー」の重要性である。2018年はAIを含めたエッジ領域の強化がさらに進む見込みだ。 - 経営と現場の連携を模索するプロセス系製造業、目指す“小回り”を実現できるか
「製造現場において損益の“見える化”を実現する価値」について紹介する本連載。前回は組み立て加工業の事例を紹介しましたが、2回目となる今回はプロセス産業の事例を紹介します。