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「モノ+データ」の新たな製造業へ、成果創出のポイントは「データ専門会社」MONOist 2020年展望(2/3 ページ)

製造業のデジタル変革は加速する一方で2020年もさらに拍車が掛かることが予想される。その中で立ち遅れが目立っていたデジタル化による「モノからコトへ」の新たなサービスビジネス創出がいよいよ形になってきそうだ。ポイントは「専門の新会社設立」だ。

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「データ」はどの部門が扱うのが最適か

 製造業が「モノ」から「コト」へのサービスビジネス化を進める中で、価値の源泉となるのは、製品がIoT化することによって取得可能となる「データ」だとされている。しかし、製品が生み出す膨大なデータを、企業内の誰が(どの部門が)管理するのか、については明確な正解例はなく、さまざまな企業が模索を続けている状態だった。

 例えば、製造データを生かして予兆保全サービスを実現するのであれば、アフターサービス部門がやるべきという考え方もある。一方で、製造データを生かして新たなアプリやサービスなどを展開するのであれば、営業部門だという考え方もある。一方で、製造データを製品開発の高度化につなげるのであれば、設計部門だという考え方もある。

 しかし、これらの各部門の中でデータを扱っても、本当に新たなビジネス創出が可能なのだろうか。現在の製造業における、企画、設計、製造、サービスなどの各部門の役割は「モノづくり」をベースに考えられており、データはあくまでも副次的な位置付けである。例えば、稼働監視などであれば、従来のアフターサービス部門が担っても問題ないかもしれないが、これらのデータ基盤でさまざまな価値をソリューションとして提供するということになると、アフターサービス部門だけでは難しいだろう。

 さらに、2019年展望でも指摘した通り、モノづくりをベースとして考える中では、「ビジネスアイデアの欠如」「他社との協力体制の欠如」について乗り越えることは難しいと考えられる。従来の固定観念に縛られる他、現状のビジネスのしがらみがあるからだ。生産性を高度に追及するモノづくりビジネスの中では、ビジネスリスクを取ってでも乗り越えようとする動きも少なくなる。

 これらの状況を乗り越えるために、現在製造業各社が進めているのが、製造業でありながら「データ活用を専門とする子会社を設立する」という方法である。

データビジネス専門企業の登場

 デジタルビジネスを推進する別会社を作る動きは、もともとはプラットフォーマーとしての位置付けを確保するための動きで進んだ。

 代表的なのが、建設IoT基盤「LANDLOG」である。「LANDLOG」の運営会社ランドログは、コマツ、NTTドコモ、SAPジャパン、オプティムなどの出資によって設立された。建設生産に関わるデータを「コト化」し、アプリケーションに提供するプラットフォームであるLANDLOGを広く展開するために、出資企業であるコマツの建機にとどまらないオープンな事業を推進している。

 また、MaaS(Mobility-as-a-Service:移動のサービス化)の実現などに向けても自動車や鉄道、ITベンダーなどが専門企業設立などを進めている

2018年10月にはソフトバンクとトヨタ自動車が「MONET Technologies」を設立。両社は、2020年代半ばまでには、トヨタ自動車が開発したモビリティサービス専用車両「e-Palette」による「Autono-MaaS」事業を始めるとしている。

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「MONET Technologies」の設立会見の様子

 ただ、これらの目的を持った協業などの一方で、2019年の動きとして目立ったのが、単純に製造業が自社製品によるデータを活用するために専門子会社を作る動きである。

 1つの例がシャープである。シャープでは2019年10月に、同社が打ち出すAIとIoTを組み合わせたAIoTのコンセプトを加速させるために、自社の会員サービスを強化する子会社「SHARP COCORO LIFE」と、他社サービスとの連携などを含めてプラットフォームビジネスを展開していく役割を担うのが「AIoTクラウド」を設立した(※)

(※)関連記事:AIoTのデジタル基盤化に本腰入れるシャープ、基盤会社を独立させ仲間作りを加速

 あえて、別会社を設立した狙いについてSHARP COCORO LIFE 代表取締役会長 長谷川祥典氏は「機能としてはシャープの中でも運営できるが、シャープはモノづくりが中心で、さまざまなアイデアもモノづくりの手法で語られるケースが多い。本格的に会員サービスを展開していくという意味では、モノベースの話ではなく、サービスや顧客ベースでの発想が必要になるため、あえて別会社とした。独自企業として会員を中心に新たな価値創出を目指していく」と考えを述べている。

 本格的にデータビジネスを展開する「AIoTクラウド」では、シャープのAIoT機器の中で実際に接続が行われている機器65万台の生活データを起点とし、他社サービスなどを組み合わせて生活を便利にするアプリケーションを提供することで新たな価値創出を目指す。AIoTクラウド 代表取締役社長 赤羽良介氏は「スマートライフについての政策などを見ても、モノと人をつなげ、社会課題や生活課題を解決していくということが大きな動きとなっている。その中で相互接続性を重視しパートナーのニーズに応えることで、生活データを重視したさまざまなサービスが生まれる場となることを目指す」と語っている。

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AIoT拡大のスパイラルアップのイメージ 出典:シャープ

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