造形ミスを削減し、初回から高品質な3Dプリントを可能にする積層造形向けシミュレーション:3Dプリンタニュース
Altair Engineering(アルテアエンジニアリング)は、積層造形向け製造シミュレーションソリューション「Inspire Print3D」を発表した。高速かつ正確なツールセットにより、レーザー溶融法(SLM)部品の製造プロセスを設計、シミュレーションできる。
アルテアが積層造形向け製造シミュレーションを発表
Altair Engineering(アルテアエンジニアリング)は2019年11月19日(ドイツ時間)、積層造形向け製造シミュレーションソリューション「Inspire Print3D」を発表した。
Inspire Print3Dは、高速かつ正確なツールセットにより、レーザー溶融法(SLM:Selective Laser Melting)部品の製造プロセスを設計、シミュレーションできるソリューションである。熱−機械シミュレーション機能を備えており、設計エンジニアリング段階で、そのまま積層造形に使える部品を開発できる。
これにより、設計者は性能要件を満たす最適な設計を導き出すことができ、統合型環境の中で重要なプロセス変数を評価し、それを簡単に変更することが可能となる。また、部品の構築、冷却、切断、スプリングバックのシミュレーションによって、コスト負担の大きい試作の反復を削減できる他、どの3Dプリンタを用いてもサポート材の使用を最小限に抑えた設計が行えるという。
Inspire Print3Dの主な機能は以下の通りである。
- 部品やサポート材の設計
- 分かりやすいインタフェース
- プリント解析
- 欠陥の特定
- プリント準備
サポート材の生成に関しては、設計対象部品と同じ環境内でインタラクティブに作成、編集できるため、部品設計と並行して作業できる。また、内蔵の熱−機械ソルバーにより、プリントプロセス全体のシミュレーションを正確に行えるため、試作回数の低減に貢献できるとする。
さらに、造形時の欠陥の特定については、大きな変形、加熱、層間剥離(はくり)などを簡単に検出およびプロットし、設計やプロセスの見直しに役立てることが可能である。最終的に3Dプリンタにデータを転送する前段階においては、部品を層ごとに評価し、形状に問題がないことを確認してからプリント用の部品とサポート材のデータをファイルにエクスポートできるという。
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