CASEで変貌する車載組み込みシステム、APTJとウインドリバーが協業で対応:ET2019(2/2 ページ)
APTJとウインドリバーは、「ET&IoT Technology 2019(ET2019)」の会場内で会見を開き、車載ソフトウェアの標準規格であるAUTOSARと仮想化技術を活用した車載ソフトウェアプラットフォームの開発と販売に向けた業務提携について発表した。
ウインドリバー「世界初のレベル3自動運転車に採用」
その中で、従来の制御系システムに対応するECUや、ADASや自動運転システムを担う高機能なECU、先述したゲートウェイなどが1つのECUに統合されていくこともあり得る。
APTJは、AUTOSAR CPの市場で優位な欧州ベンダーに対抗する国産ベンダーとして事業展開を進めているが、現時点では国内市場で足掛かりをつかんだ状態で、グローバル展開も含めてAUTOSAR CPに注力する必要がある。今後市場が立ち上がるであろう、AUTOSAR APや、ECUの統合で重要な役割を果たす仮想化プラットフォームまではカバーできない。
そのAPTJに、今回の協業を持ちかけたのがウインドリバーだ。ウインドリバー グローバル戦略エコシステム兼マーケット開発担当ダイレクタのランディ・グールスビー(Brandy Goolsby)氏は「当社の組み込みソフトウェア製品はさまざまな業界にわたって、世界20億個以上のデバイスで利用されている。特に、日本、韓国、中国を含めたアジア太平洋地域では高い評価をいただいている」と語る。世界シェアで見れば、リアルタイムOSで36%、商用組み込みLinuxで52%、仮想化プラットフォームとして用いられるハイパーバイザーでは25%で、いずれもトップだ。
特に、航空・防衛、産業機器で35年以上、通信機器で20年以上とミッションクリティカルなインフラ向けで長年の実績を積んでおり、現在はADASや自動運転システムの開発が進む自動車向けにそれらの知見やノウハウの展開を進めているところだ。ウインドリバー グローバルオートモーティブマーケットダイレクタのタイ・キム(TY Kim)氏「世界初のレベル3の自動運転車となったアウディの『A8』にも採用されており、今後も展開を広げていく」と強調する。
ただし、ウインドリバーは、AUTOSAR APについてはVxWorksなどによって対応できているもののAUTOSAR CP向けの製品はラインアップしていない。自動車業界向けの提案を強化していく上でAUTOSAR CPは必須であり、そのパートナーとしてAPTJに白羽の矢を立てたわけだ。
今後両社は、AUTOSAR AP/CP、車載情報機器向けLinux、仮想化プラットフォームなどの製品や技術を持ち寄って車載ソフトウェアプラットフォームの開発を進める。今回の協業のメリットについて、高田氏は「グローバル市場に進出する上で有力なパートナーになる」、キム氏は「特にルネサス製プロセッサのサポートという観点でAPTJは有力だ」と述べている。
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